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《ブラジル》エスピリトサント州=軍警ストの混乱続く=陸軍投入後も住民の不安消えず=市民と軍警家族の衝突も発生=リオ州に飛び火の危険性も

エスピリトサント州の混乱は続いている(Tânia Rêgo/Agência Brasil)

エスピリトサント州の混乱は続いている(Tânia Rêgo/Agência Brasil)

 【既報関連】エスピリトサント州での軍警ストは5日目に入ったが、軍や国家治安部隊(FN)の投入も治安改善にはつながらず、住民の不安は収まっていないと、8日付現地紙・サイトが報じた。
 4日にストが発生して以来、急増している殺人事件の被害者は、8日午後2時半の段階で90人に達している。
 州都のヴィトリア市などでは、いまだに強盗、略奪、殺人が横行し、住民の不安は軍警への不満に変わっている。
 7日午後には、ヴィトリア市にある州軍警中央本部前で、ストを続ける軍警に不満を募らせた一般市民と軍警の家族との間で衝突が起き、本部前の大通りに積み上げられたタイヤに火がつけられた。この騒動は、陸軍兵が出動し、催涙スプレーを使って収めた。本部内にいた軍警約30人は事態を傍観していた。
 住民と軍警家族との間の衝突は、グアラパリ、カショエイロ・デ・イタペミリンでも起きた。
 アンドレ・ガルシア同州公共保安局長は、軍警のストを「脅し」とし、ストに参加した軍警は処罰すると明言した。同局長は、「軍警の家族が、軍警が市内パトロールに出ることを妨げている。違法行為のストを行っているのではない」との言い分を、「くさい芝居」と切り捨てた。
 他方、軍警がストを行っている間も勤務を続けていた市警も、7日に同州北東部のコラチーナ市で市警が1人殉職したことへの抗議として、8日正午から12時間限定で職務停止に入った。9日午前0時までは、緊急事態への対応以外の職務は行わない。
 これらの事態を受け、セーザル・カルナゴ知事代行は8日、連邦政府にFNと陸軍兵士増員を求める意向を表明した。
 なお、エスピリトサント州の混乱が隣のリオ州に飛び火する危険性を指摘する声もある。財政危機に瀕するリオ州では警察官への給与遅配が起き、昨年の年末ボーナスも支払われていないため、不満を募らせた警察とその家族が、10日にもスト決行との噂が出ているのだ。陸軍は既にストに備えて配備につき始めている。
 軍警広報のイヴァン・ブラス少佐は「内部諜報部門がストに向けた動きを探っているが、各軍警の心情を暴き、ストに賛成する意向か否かを知る術はない。引き続き調査を続ける」と語った。