オランダのビール会社ハイネケンが13日、ブラジルキリンの買収に関して、キリンホールディングスとの合意に達したと発表したと同日付現地紙サイトが報じた。
キリンHDは11年、当時、ブラジル国内のシェアが2位だったスキンカリオルを約3千億円(約60億レアル)で買収し、子会社のブラジルキリンを立ち上げた。
しかし、価格競争の激化や経済の低迷で国内のシェアは伸び悩み、赤字経営が続いていた。
ブラジルキリンの業績悪化は15年のキリンHDの赤字決済も招いた。
同社は15年12月期に特別損失も計上し、リオ州にある工場を売却。16年に国内シェアが3位に低下してからは、他社との業務提携を図ったりして自主再建を試みたが、その後も業績は思わしくなく、今年1月半ば以降、ハイネケンなど、複数の企業と買収(売却)に向けた具体的な話し合いを続けていた。
13日付現地紙サイトによると、ハイネケンによる買収額は6億6400万ユーロ(ブラジル通貨で22億レアル、日本円では770億円相当)で、ハイネケンはブラジル国内2位のビール会社となる。買収合意は公正取引当局(経済防衛行政審議会、Cade)の審査を経て正式に成立するが、当事者達は今年上半期には株式譲渡に至ると見ている。
ブラジルキリンは、Schin、Baden Baden、Eisenbahnといった銘柄でビールを製造。ハイネケンは今回の買収で炭酸飲料も含めた工場12カ所や販売網を入手できるため、北部や北東部を中心に、シェアや知名度アップを図る事ができると考えている。
ブラジルは、中国、米国に続く世界3位のビール消費国で、16年の販売量は前年より7・2%増えた。だが、ブラジルキリンの販売量は0・2%増に止まり、償却前の営業損失は2億6200万レアルに縮小(15年は3億2200万レアル)したものの、黒字転換は叶わなかった。