大阪・サンパウロ姉妹都市協会(吉川秀隆会長)による招待で、サンパウロ州立総合大学デザイン科に在籍する安楽カチア香織さん(21、四世)が、約2週間の研修の機会を獲得し、出発の直前に来社して意気込みを語った。
昨年に開催された日本語センター主催の第10回弁論大会で、優秀賞を収めた安楽さんは、「日本在住経験もないのに、ここまで日語能力が高い生粋の四世は極めて特例」ということで推薦されたという。
「志―社会に対して何ができるか」というテーマで、「社会の表裏や矛盾を知り、自分の中で葛藤があった。それを消化するまで、志は定まらない」と弁論した。
スザノ日伯学園で教師を務める母親のもと、せめて家庭内では日本語をという教育熱心な家庭で育った。堂々とした口振りで、難解な慣用句を交えて話す様子は、まさに日本人顔負けだ。
5歳から17歳まで金剛寺学園で日語を学び、「同級生と考えが一致しなかったり、興味の対象が噛み合わなかったり。でも、同園が自分の居場所だった」と日系人意識を深めてきた。
さらに修養団では10年以上もボランティア経験してきたといい、「向上心を諦めないことなど、多くを人から学んできた。将来は子供の教育に携わり、なるべく良い道に導くようなことができれば」と目を輝かせる。
「大学に入って、世界が一気に拡がり、交流のなかで意見の違いを大きく感じてきた。それまでは井の中の蛙だった」と笑い飛ばした。
「まして日本ならもっと驚きがあるはず。そういった意味で、研修の機会を頂けたのは本当に有難い」と語り、「ブラジルの日系文化と日本文化がどう違うのかを見てきたい」と意気込みを語った。安楽さんは12日に出発した。