国内最大手の新聞社のひとつ、フォーリャ・デ・サンパウロ紙(以下、フォーリャ紙)が、ミシェル・テメル大統領夫人のマルセラ氏のハッキング被害に関する報道の差し止め命令を受けたことを不服として控訴を行い、連邦政府と争うことになった。14日付フォーリャ紙が報じている。
フォーリャ紙が報じたのは、16年4月に起きた、マルセラ夫人のハッキング被害だった。同夫人は同月3日にメールとワッツアップの個人情報を盗まれ、数日後に「情報を洩らされたくなければ30万レアル支払え」との恐喝も受けた。
この事件はサンパウロ市市警が捜査に乗り出し、4月13日に犯人を逮捕した。この事件は既に裁判も終え、犯人は5年10カ月の実刑判決で服役中だ。
フォーリャ紙はこの情報を入手し、今月10日に同紙サイトにニュースを掲載したが、大統領府が「人権侵害にあたる」と訴えたため、ブラジリア地裁が掲載差し止めの暫定令を出し、サイトの記事も消去された。
フォーリャ紙はこれを「1985年の民政復帰以降、大統領府が介入した初めての検閲行為」で「報道機関の自由を束縛する」として、同日中に控訴した。同件では、グローボ紙も報道停止を命じられている。