ブラジル下院が審議、承認後に上院に送った汚職防止法案が、16日に下院に差し戻され、ロドリゴ・マイア下院議長(民主党・DEM)が不満を隠しきれずにいる。17日付現地紙が報じている。
汚職防止法は昨年11月に下院で承認され、上院も12月中旬までは承認の方向で動いていた。
だが、同法案には議員の都合で提出された修正案が目白押しで、下院が承認した時点で「同法案裁可前に起きた選挙での裏金疑惑は不問とする」など、あたかもラヴァ・ジャット作戦(LJ)を骨抜きにするかの内容が盛り込まれた。また、裁判官や検察官への処罰厳格化などの修正案も含めた法案承認は11月30日未明に強行された。
同法案は下院が承認した当日に上院に回され、LJで複数の疑惑がかけられているレナン・カリェイロス上院議長(当時、民主運動党・PMDB)が緊急採決動議も出した。この動議は否決されたが、同法案の修正内容や強行に承認しようとする姿勢に、司法や国民の不満が強まった。
上院での審議は、最高裁のルイス・フクス判事が12月14日に出した判断で止まった。同判事は「同法案は検察庁が原案を作り、汚職防止を願う国民の署名100万件以上を添えて提出したものなのに、議員側の思惑が入りすぎている」との理由で、下院での再審議を求めた。
同法案は元々10項目あったが、手付かずだったのは1項目だけで、6項目は実質除外、残りも内容が修正された。フクス判事は、裁判所や検察の権限を貶めるような条項の再考も促した。
だが、レナン氏が同法案を差し戻さないまま、議会は年末年始の休暇に入り、今月1日の上院議長選に当選したエウニシオ・オリヴェイラ現議長(PMDB)が16日、同法案を下院に戻した。
これに関し、マイア議長は「フクス判事の意思は尊重するが、一体どう扱ったらいいのか」と強く当惑。「既に議会で決めたことをどうすればいいのか。検察庁にでも戻せというのか」と疑問を呈した。報告官を務めたオニキス・ロレンゾーニ下議(DEM)も「いつまでにどうしたらよいのか」と当惑している。
マイア氏をはじめとする議員側は、野党の労働者党(PT)のカルロス・ザラチーニ下院リーダーも含め、「最高裁の全体会議がどういう判断をするか待ちたい」との見解を示している。
LJに関しては、マイア議長自身も報奨付供述で名前が上がっている。
タグ:PT 汚職 PMDB 写真ニュース ラヴァ・ジャット オニキス