国際労働機関・ILOによれば、我が国の経済成長率(GDP・国内総生産)は好調であるに拘わらず、2015年度の失業率7・2%に比し、2016年度は8・3%に悪化した。なお、女性の昨年度の失業率は10%に達している。
パラグァイ中央銀行発表の公式指数は堅調な経済の増進を示すものだが、最近の国際労働機関・ILOの報告書ではパラグァイ人労働者の就職事情は決して向上しているとは言えない。
同「ラ米及びカリブ諸国2016年度雇用事情パノラマ」と題する報告書は、昨年は同地域諸国の失業率は急激な増加を記録したと指摘している。
かかる情勢は深刻な経済不況に悩むブラジルやアルゼンチン等ではいざ知らず、パラグァイの場合は、2015年は3%及び2016年は更に4%という、各年のGDP成長率だった事を見れば意外な現象だと、同ILOの報告書は分析している。
パラグァイの2015年度の失業率は7・2%で、2016年度は8・3%まで増大した。これはラ米諸国中、ブラジル、コロンビアとアルゼンチンに次ぐパラグァイの第4位の失業率であり、余り偉そうな事もいえない。
国際労働機関・ILOの同報告書は、パラグァイの失業問題は特に女性労働者に厳しく反映しているという。
事実、2015年度の女性労働者の失業率は8・4%を記録し、次いで昨年度はこれが10%にまで達した。
それに対し男性の場合は、2015年度は6・2%及び2016年度は6・6%で、明らかに女性労働者に比較して優位にある。
ブラジルを含む南米南部地域(CONO SUR)諸国の失業率は、同国際労働機関の報告書に依れば2015年度は8・0%だったのが2016年度には10・7%に増進した。
現在、経済危機に伴う労働市場の問題は成年層労働者よりも青年層労働者により厳しい就職難を呈している。
『この事態は、青少年が将来適切な良い就職を目指して日増しにレベルの高い勉学に勤しむ傾向にあるが、これに相応した公明な雇用創出倍増政策を各国当局が緊急に且つ適切に施さない限り、その改善は不可能な事を示すものである』と、国際労働機関・ILOは勧告する。
地域諸国中で最も労働者の深刻な失業問題を抱えているのはブラジル(11・3%)、コロンビア(9・6%)とアルゼンチン(9・3%)の3国でパラグァイの(8・3%)が続く。
一方、地域で最も失業率が低いのはペルーの4・4%、エクアドルの5・4%とチリの6・ 6%の3国である。
国際労働機関・ILOが示す所によれば、ラ米及びカリブ諸国における失業者数は、2015年度の2千万人から昨年度は2500万人に増加した。
そして、南米南部(CONO SUR)諸国での2016年度雇用創出量は2015年度よりも1400万人も少なかった。
そして、女性の失業率は最近10年来初めての二桁を記録した。詰まり、増加失業者5百万人の中でなんと230万人が女性労働者だったのである。(註・ 本稿は2月18日付Ultima Hora紙の記事を引用したものです。坂本さんの連絡先=kunimaru_sakamoto@hotmail.com)