【既報関連】リオデジャネイロ州議会で20日、リオ州水道下水公社(Cedae)民営化法案の採決が行われ、賛成41、反対28、棄権1で可決されたと20、21日付現地紙・サイトが報じた。
同公社の民営化は、深刻な財政危機に陥っているリオ州が、ブラジル連邦政府への負債の利子支払いを期限付きで猶予してもらうと共に、新たな融資を得るために、連邦政府によって義務付けられた交換条件の一つだ。
同公社職員を中心とする州公務員は、今月はじめから、同件に反対するデモ行為を繰り返している。20日のデモでは20人の逮捕者が出た。
同州のルイス・ペゾン知事(民主運動党・PMDB)は、同公社の株式を担保に、連邦政府から35億レアルの融資を受ける意向だ。
州水道公社の民営化により、連邦政府から新たな融資を得る計画が実現するには、連邦議会での承認も必要だ。ペゾン知事は、新たな融資で得た資金を、遅れている州職員への給与の支払いにあてる予定だ。
20日の採決は、抗議活動過激化や軍警ストへの懸念と、議会内賛成工作のため、審議を2回延期した後に行われた。
州議会をローラーのごとく〃ならし〃、与党さえ予想していなかった迅速承認を実現したのは、ジョルジ・ピッシアーニ議長(PMDB)だ。
同議長は各会派に法案承認後のポストを約束して結束を固めた上で審議に入り、野党が事前の委員会で提出した211の修正案否決後、素早く、水道公社民営化法案の採決・承認に持ち込んだ。この間、わずか1時間だったという。
水道公社民営化法案は、21日午後7時から始まる議会で、16の修正案を審議した後に州知事のもとに回される(締め切り時点では結果は不明)が、野党側は与党の結束を切り崩すのは困難だと見ている。
連邦政府から35億レアルの融資と債務猶予を受けることで、リオ州政府は今年100億レアル相当の財政的余裕ができる。この金額は、今年発生すると見られている基礎的財政収支赤字額のおよそ半分に相当する。
ピッシアーニ議長は、州職員給与からの年金徴収額増額その他の財政再建策は、遅配中の職員給与が支払われてから採決にかける意向だ。
水道公社民営化のための具体的な手順は、法案が裁可されてから半年以内に州政府が決める。同公社は州内95市中、64市体に水を供給しており、現在の資産価値は55億レアルと評価されている。2015年の同公社の利益は、年2億4900万レアルだった。
水道公社民営化に関しては、リオ市以外の市からも、資本の論理で切捨てが起こるのではないかとか、効率化の名の下で水質が保たれなくなるのではないかといった不安の声が上がっている。
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