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《ブラジル》最高裁判事=上院がモラエス氏を正式に承認=法相から異例の抜擢に反発も=サバチーナも長時間化=LJ支持などを積極アピール

サバチーナでのモラエス氏(Marcelo Camargo/Agência Brasil)

サバチーナでのモラエス氏(Marcelo Camargo/Agência Brasil)

 20日、ブラジル上院憲政委員会(CCJ)で連邦最高裁判事の口頭試問(サバチーナ)が行われ、テメル政権の法相から配置換え的な指名を受けたアレッシャンドレ・デ・モラエス氏が、約12時間にも迫る長い試問後に同委員会(CCJ)の承認を得た。同氏は21日の上院本会議も通過し、最高裁判事として正式に認められた。21日付現地紙が報じている。

 20日のモラエス氏の口頭試問は、最高裁判事のサバチーナとしては90年代以降で最長となった。それは同氏の持つイメージの問題だった。
 モラエス氏は早くからサンパウロ市やサンパウロ州の局員をつとめ、40代で法相に就任するなど、実績的には申し分ない人物だった。だが、これまで法相だった人物がいきなり最高裁判事になることや、同氏が民主社会党(PSDB)に所属していることが、最高裁での判断に政治的な影響を及ぼすのではないかと懸念する向きもあった。
 また、同氏が前下院議長であるエドゥアルド・クーニャ被告や、PSDB党首でラヴァ・ジャット作戦(LJ)での疑惑のあるアエシオ・ネーヴェス氏の弁護を担当したことがある点も問題視された。さらに、CCJ自体もエジソン・ロボン委員長(民主運動党・PMDB)をはじめ、LJで疑惑をかけられている委員が多いことも指摘されていた。
 そうしたこともあり、モラエス氏の答弁は現状の世論を逆撫でしないことに気を遣ったものだった。モラエス氏はLJを支持し、現在問題となっている、要職政治家の不逮捕特権「フォロ・プリヴィレジアード」の見直しにも積極的だと返答。政治家が嫌っている容疑者による報奨付供述(デラソン・プレミアーダ)の有効性も弁護した。さらに「二審でも有罪となった時点で服役」という考え方も支持した。
 その一方で、「立法の判断に司法が介入しすぎること」を問題視していると語り、議会側の気持ちも尊重した。
 また、PSDBもすでに離党しており、特定政党との結びつきはないと明言。さらに、サンパウロ州の犯罪集団「州都第一コマンド(PCC)」を弁護した経験があるとの噂も、事実無根と否定した。
 CCJでの口頭試問は11時間20分の長丁場となったが、19対7で承認された。LJ開始後の口頭試問は長時間化する傾向があり、15年5月にエジソン・ファキン氏が承認された際も11時間を要した上、7人の反対票が入った。それ以前は大体6時間前後で、ほぼ満票承認だった。
 モラエス氏は、翌21日の上院本会議でも55対13と規定以上の票を獲得し、最高裁判事就任が確実になった。