在聖総領事館が安全対策情報としてサイト(www.sp.br.emb-japan.go.jp/jp/)で掲載した、サンパウロ市内での邦人強盗被害は1月5~16日の間に4件。いずれも日中、東洋街での換金後、移動先で拳銃を突きつけられて脅され、現金などを奪われている。さらに2月にも同様の強盗被害が2件発生し、いずれも強盗被害を恐れ、換金後に市外から遠く離れたり、換金後すぐに旅行用ポーチに収納したにも関わらず、襲われた。ネット上で「換金所に内通者がいるのでは」との噂が広まっていることをうけ、渦中のツニブラ旅行社を2日取材した。
2月の強盗被害の1件目は、16日午後1時、被害者はTUNIBRAでの換金後、タクシーに乗車した。尾行を避けるために市内を遠回りした後、高速道路を利用し市内から約70キロ離れた駐車場に入ったところで車とバイクに乗っていた強盗犯から銃を突きつけられ現金約1万4千レ、クレジットカード、その他貴重品が奪われた。
同2件目は23日午前11時半に東洋街のガルボン・ブエノ通りで発生した。被害者は同旅行社の換金所内で旅行用ウエストポーチに換えたばかりの現金を入れ、外から分からないように衣服の内側に収納した。
1時間ほど周辺を散策し、同通りで銃を突きつけられ付近のホテルに誘導された。被害者が要求に応じ荷物と財布を差し出すと、強盗犯はあらかじめ知っていたかのように「旅行用ウエストポーチも出せ」と要求。強盗後、犯人はバイクで逃走した。現金1576レ、クレジットカード、その他貴重品が奪われた。
日本商工会議所関係者に、相次ぐ強盗事件にも関わらず同旅行社で両替する人が絶えない理由を尋ねると「子どもの入学や車の購入など、急に大金が必要になったことが考えられる。外貨両替手数料の安さ、日系で一番の大手であり日語対応が可能であること、米ドル小切手の換金も受け付けていることが理由では」と推測した。
1月10日に強盗被害にあった日本人男性(85)はそこで換金後、メトロのアナ・ローザ駅で降りて妻との帰宅途中、バイクに乗った二人組に襲われ、ピストルで頭を殴られ倒れた。その間に強盗犯は妻が持っていたショルダーバッグを強奪して逃走。「もう二度とあの旅行社での換金したくない。管理体制をしっかりし、安心して換金できるようにして欲しい」と憤った。
ツニブラ旅行社の総務役員の田口ロベルトさん(66、二世)に「内通者がいるとの噂が広まっているが?」と尋ねると、「換金所の利用者が強盗の被害に遭う度に警察の捜査を受けており、警察からの要請で両替所の従業員全員に隠しカメラを持たせている。両替所の社員は20~50年間も働いている人ばかりで、全員捜査に協力している」と否定した。
さらに「1月に入ってから、銀行を出た人を狙う強盗は他の銀行や両替所、市内全体で増えている。私達も困っている」とため息をついた。
なお、円やドルからの両替はダイコヴァル銀行(Banco Daycoval)などでも取り扱っており、「30日間で1万レまでの換金はパスポートの提出のみ。RG、RNE等身分証明書を提出する場合は所得納税者番号(CPF)の提出が必要」とのこと。パウリスタ大通りのトップセンター内の支店(Av. Paulista, 854, loja 25C, Terreo, Bela Vista)と、本店(Av. Paulista, 1793, Bela Vista)は英語対応可能。問い合わせはそれぞれ(支店=11・3251・2888/本店=0300・111・2009)まで。
□関連コラム□大耳小耳
在聖総領事館のサイトで確認された強盗被害のほか、1月17日、アナ・ローザ区の某有名日本料理店が昼食時の営業を終え店じまいをしているところ、日本人駐在員と思われる男性が駆け込み、その後を追って強盗犯が店内に侵入した。二人は入り口付近で取っ組み合いになり、強盗犯は店内で3発発砲、男性は軽傷を負った。事件翌日から旅行を計画していた男性はリベルダーデ区での換金を終え、自宅への帰路で追跡に気づき同料理店に入ったそう。男性は金の入ったポシェットを店の奥に投げたため盗られることはなかった。その後、強盗犯は外で待機していた仲間とともにバイクで逃走。命、貴重品を失わずに済んだ珍しい例。成功に終れば「武勇伝」だが、万が一もありえる。強盗に遭った際には「抵抗せず要求に従う」のが鉄則だ。