昨年8月から9月にかけて行われたリオ五輪・パラリンピック(以下「リオ五輪」)、南米大陸初の五輪はブラジル史に残る一大イベントだったが、大会後、選手へのサポート体制の打ち切りといった問題や、招致活動に関わる贈収賄疑惑が浮上しており、4、5日付現地紙各紙によって報じられた。
リオ五輪招致に関する贈収賄疑惑はフランスの財務検察が扱っており、2009年の国際五輪委員会(IOC)総会前に、当時の国際陸連会長でIOC委員だったラミン・ディアク氏の息子の経営する会社宛てに、ブラジル側からおよそ200万ドルが振り込まれていた証拠をつかんだとのフランス紙「ルモンド」の報道を、4日付ブラジルの国内各紙が伝えた。
支払いを行ったのは、当時のリオ州知事と深い関係にあったブラジル人企業家のアルトゥール・ソアレス氏だとされている。
同氏は、人材派遣会社グルーポ・ファシリティを率い、セルジオ・カブラル氏がリオ州知事を務めていた時に、州から30億レアルの契約を受注していた。
リオ五輪招致が決まった2009年にリオ州知事だったセルジオ・カブラル氏は、当時、ルーラ大統領と並ぶ、リオ五輪招致委員会の重鎮の一人だった。現在同氏は、収賄、犯罪組織形成、資金洗浄、2億レアル超に及ぶ公金横領の罪で起訴され、拘置中だ。
リオ五輪組織委広報部長のマリオ・アンドラーダ氏は、「リオが五輪開催都市に選ばれたのは、開催計画が一番優れていて、一番優れた広報活動を行ったからだ」と疑惑を否定している。
「祭りの後」の空しさ
支援打ち切りの選手たち
リオ五輪から半年後、ブラジルのスポーツ選手を巡る経済的環境は悪化していると、5日付エスタード紙が報じた。
地元開催五輪となる本番までは強化費やスポンサー料が多くついていた選手たちも、大会後の環境は一変している。
男子体操のスター選手で、ロンドン五輪の金に続き、リオでもつり輪で銀メダルを獲得したアルトゥール・ザネッチも例に漏れない。
大会前は10に及んだ同選手の収入源も、今はメダル獲得選手報奨金、所属のブラジル空軍からの給与、アディダス社からのスポンサー料の三つに減ってしまった。
女子オープンウォータースイミング10キロで銅メダルを獲得した日系人ポリアーナ・オキモトも、五輪が終わると政府からの支援が打ち切られ、マッサージ師、栄養士などとの契約を破棄しなくてはならなかった。
東京五輪を目指して現役続行を明言しているオキモトは、「夫がコーチなのは不幸中の幸いだった。彼は無償で働いてくれるから」と精一杯の冗談を言った。