ホーム | 日系社会ニュース | 《ブラジル》瀬戸際に立つ「憩の園」経営=聖母マルガリーダの精神いつまで=通常収入では経費の半分以下

《ブラジル》瀬戸際に立つ「憩の園」経営=聖母マルガリーダの精神いつまで=通常収入では経費の半分以下

「ドナ・マルガリーダの精神は当面変えるつもりはない」と説明する佐藤会長

「ドナ・マルガリーダの精神は当面変えるつもりはない」と説明する佐藤会長

 戦争中の1942年から日本移民を助け続けてきた伝統を持つ「救済会」――。経営する「憩の園」がすぐに潰れることはないにしても、「今までのあり方」を守り続けるという意味では、瀬戸際に追い詰められている。救済会(佐藤直(すなお)会長)の第65回定期総会が11日午前、文協ビル5階で開催され、議事自体は次々にすんなりと承認された。でも例年にないほど多い70人の参加者には、そんな切羽詰まった雰囲気がひしひしと伝わっていた。

 総会議長を務めた本田泉(イズム)専務理事は、「救済会の基本方針は創立時から『困った人を助けること』。これはドナ・マルガリーダ渡辺が創立した時からの考えであり、今も変わらない。もし同い年で同じぐらいの健康状態の入園希望者が二人いたら、経済状態が悪い人を優先して入園させてきた。でもその結果、財政状態は年々悪化するばかり。今のところはそれを続けているが…」と窮状の基本的な構図を説明した。
 かつては日本国籍者が入園者の大半を占めたから、日系社会全体で支えるというコンセンサスがあった。でも入園者の半分以上がブラジル国籍の二世の時代になり、救済会を支える会員はデカセギ・ブーム以降に激減した。
 小川英輔会計理事に話を聞くと、救済会が運営する「憩の園」には70人余りが入園しており、うち約20人が自立者、残りに50人ほどが寝たきりの多い要介護者。
 毎月約45万レアルの運営経費がかかるが、通常収入である家族からの支払いと会費では20万レアル程度しか集まらない。足りない分の25万レアルは、寄付とイベント収入で補っている。
 会員は減るばかりだが、福祉関連の法律は年々厳しくなる一方で、人件費は増える。創立時は20人の職員で100人の面倒を見ていたが、現在は医師や専門家らを含めて約100人のスタッフが入園者70人の面倒を見る体制になっている。経費の4分の3はこの人件費だという。
 昨年は赤字会計にしないために所有地の一部を売却した。それがあったから昨年の総収入612万レ、総支出540万レと黒字になった。だが今回承認された17年予算は収入・支出とも506万レで、大幅に支出削減を図る必要がある。
 サンタクルス病院運営委員会から来賓として出席した原長門さんは、「土地を売らなければ赤字という、資産を食い潰す状態の経営では長続きしない。救済会自体の〃健康〃を救わなくては。手っ取り早いのは入居者を減らして、その分、介護者も削減すること。一次的に減らして景気が良くなったら戻せばいいのでは」と提案した。
 それに対し、佐藤会長は「確かに財政は均衡させなければならないが、ドナ・マルガリーダの精神は当面変えるつもりはない。理事会はさらに手を尽くしたい。皆さんも協力を」と呼びかけた。


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 救済会に新品や古い衣服や家具、中古家電品(故障品でも可)を寄付する場合は、電話(11・2480・2256/11・2480・4203)すればトラックで回収に来る。またノッタ・フィスカル・パウリスタ(NFP)の寄付も可能。店やレストランで「NFPがいりますか?」と聞かれたら、「CPFなしで」と注文し、出されたNFPを次の20日(できれば2日前)までに救済会事務所(文協4階)に持っていけば寄付になる。もしくは憩の園サイトの寄付ページ(http://ikoinosono.org.br/wordpress/nf-paulista/)からそのNFPの番号を登録すれば寄付になり、事務所に行く必要はない。問い合わせは電話11・3209・0215、マルセラ、nfpaulista@ikoinosono.org.br)まで。