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今年も日本式野球の伝授に=日体大から8人がブラジルで指導=JICA通じ全国10都市で

ちびっ子から記念にTシャツを受け取る日体大メンバー

ちびっ子から記念にTシャツを受け取る日体大メンバー

 JICAによる大学連携事業で、日本体育大学の野球部員ら8人が今年も来訪指導に訪れた。技術向上と青少年教育などを目的としており、21日の帰国まで約1カ月間、聖(サンパウロ)、麻(マット・グロッソ)州を始めとする全国10都市で活動。2014年の派遣から4年連続で実施され、走攻守といった基礎プレーの指導、連係プレーの実演を通じ日本らしいきめ細かい指導に汗を流した。

 日本の春休みに合わせ、毎年この時期に1カ月間の短期派遣が実施されてきた。麻州クイアバの日系団体、バルゼア・グランデ文化体育協会が受け入れ先となり、今年は8人の部員らが来訪。現在派遣中のボランティア10人の受け入れ先を回った。
 団員は先月25日にクイアバで活動をスタートさせた。南麻州ドウラードス、ナヴィライ、パラナ州クリチバなどを巡回し、現地の要望に合わせ指導に当たった。礼儀やマナーほか、走塁のコツや守備時のベースカバーなど、細部を重視する日本式野球を重点的に伝えた。

試合では終始、コチアを圧倒した

試合では終始、コチアを圧倒した

 今月10日にはサンパウロ州へ。マリリア、インダイアツーバ、アチバイアといった地区を訪れた。グァララペスでの交流試合では、時折ヤジが飛ぶなどの環境に困惑しながらも、市長が駆けつけるなどし、地元市民らと交流も図った。
 講習最終日となった19日は、サンパウロ市コーペル・コチアで指導と交流試合に臨んだ。クラブの新田博和野球部長(67、島根)は「普段行なう準備運動は30年前のメニュー。最新の練習方法を伝授してくれた」と喜び、「走塁のコツや筋肉の使い方など収穫は多い」と語った。試合は初回の本塁打などで先制し、15―1(7回コールド)で日体大が圧倒した。
 8人の来伯団は学生コーチとして活動する者がほとんど。昨年に続き2回目の参加となった江藤輝さん(3年、福井)は、「交流試合が10から4程度に減った。講習に当てる時間が多くなり中身の濃い指導ができた」と成果を喜んだ。
 引率は同大卒業生の高丸博文さん(29、東京)が務めた。12~14年には日系社会ボランティアとしてクイアバに赴任しており、当時に比べ技術向上などを実感したという。世界と渡り合うために「投打以外の守る、走るという部分、さらにミスのないプレーを高めれば、パワフルなスタイルをより生かせる」とエールを送った。