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開講見送り、方針転換へ=クルゼイロ大の日語教師科

リベルダーデ校外観

リベルダーデ校外観

 汎アメリカン日系人協会ブラジル支部による「日ブラジル際大学構想」を受け2年前に開設された、クルゼイロ・ド・スール総合大学の日ポ語教師学科が、今年も開講見送りとなった。入学希望者が一定数に満たなかったためで、遠隔授業(Aula Distancia)の導入が現実的となっている。
 初めて入学試験が実施された昨年度は97人が申し込み、最終的に入学手続きをしたのは15人だった。今年度は申請者数101人とほぼ変わらなかったものの、29人が入学手続きをした。
 学校側は40人前後をめどに開講するか判断しており、10人ほど足りなかった。来年度に向けて一定数を確保すべく、映像配信による遠隔授業の準備を進めているという。これにより通学できない地方からも学生を募ることができ、数倍の受験者数を期待している。
 全伯120~130カ所あるという出張窓口の「20キロ圏内に在住」という受講条件はあるものの、ある学科では通学者1700人に対し、遠隔授業では2万人の受講者が在籍するという。
 学科により異なるが、毎月200レアルから受講できることも魅力の一つで、入学時期も問わない。また通学者との間で単位所得難易度が変わらないよう、随時小テストを行なうなどの対処もほどこしている。
 一定数の生徒が集まらなかった要因として、教職への関心低下があるという。教員への待遇改善といった課題もある中、開講が見送られた。
 連携する汎米協会としては遠隔授業に理解を示しつつ、「対面授業を想定していた我々には難しい問題」と矢野敬崇会長ら。「遠隔授業も魅力的だが、良い教師を育てるためには実際に体験しながら学ぶ機会が必要だと思う。引き続き従来の対面授業を受けられる生徒を集めたい」と語り、対面、遠隔の両面で開講を目指していく。