昨年4月14日に発生した熊本地震からもうすぐ1年。当地で積極的に寄付活動を行なったブラジル熊本県文化交流協会が18日午後、震災激励訪日団の結団式を行なった。1周年法要参列や義援金贈呈、被災地訪問などを予定する。15人の団員が当地から被災地へ、支援の思いを届ける。
協会は昨年の震災を受け、すぐさま義援金活動を開始した。一個人や日系諸団体、企業、在伯公館など熊本県人の垣根を越えた支援が集った。これまでに総額約45万レ(約1200万円)となったという。
訪日団は震災から1年が経過することを契機に結成された。被災地の視察や激励が目的。今回の募集を受け15人が集り、来月9日に離伯することになった。
震度7の地震に2度襲われ、県から訪問要請があった益城町の大型仮説住宅地「テクノ仮設団地」ほか、修復中の阿蘇神社、西原村、南阿蘇村などを訪れる。
発災日に当たる14日には、県庁で行なわれる犠牲者追悼式にも出席する。熊本日伯協会による歓迎会なども開かれる予定という。
また滞在中には団長でもある田路丸哲治会長ら協会役員が、蒲島郁夫知事を訪問する。当地からの第3次義援金を直接手渡す予定だ。さらに今回訪問する各被災地には、約4千羽の鶴も贈る。
18日にはサンパウロ市の会館で結団式が開かれた。田路丸会長は、団長として訪日することに使命感をにじませ、「遠いブラジルから応援があることを伝え、被災地の人を元気にしたい」と気を引き締めた。
また赤木数成書記(熊本市、81)は「大阪や新潟など、自分の県が被災し助けてもらった時の恩返しという人たちをはじめ、出身地が違う人も非日系も寄付してくれた。ブラジルの日系社会全体が協力したということを伝えたい」と意義を語った。
またサンパウロ市から車で約1時間半のマイリンケ市から出席した団員の浜武哲史さん(山鹿市、77)は、「故郷がこんな災害に遭い、やっと見舞いに行ける。今でも仮設住宅で暮らす人を励ましたい」と郷里への想いを明かした。
それぞれの想いを胸に9日、熊本へ向かう。
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熊本地震の被災地訪問団が届ける鶴4千羽は、昨年の県連日本祭りで作られたもの。SOMPOセグロスのブースで折鶴教室が開かれ、長蛇の列ができた。ブースに寄った人は楽しく折鶴の作り方を学び、「自分たちの折鶴が熊本に届けられるかも、ということを考え一生懸命折った」と、日本へ送られることを喜んでいた。ようやく日本へ贈られることとなったが、受け取った被災地の人は温かく受け入れてくれるはず。