全伯103都市に合わせて、サンパウロ市パウリスタ大通りでも26日に抗議デモが行われ、低調ながらも数万人が参加した。法的特権(foro privilegiado)の廃止、ラヴァ・ジャット(LJ)作戦支持、リスタ・フェシャーダ(比例代表制)反対、汚職政治家への抗議が展開された。参加していた日系人に話を聞いた。
セルジオ・モロ判事のお面を被り、ブラジル国旗を掲げたトウヒ・フミオさん(55、二世)はデモ中、「汚職をやめろ!」と何度も叫んでいた。「国民がこうして外に出て抗議することが国を変える機会を生む。前向きに行動するべきだ。政治家の汚職を許してはいけない。ブラジルに良い未来を!」と怒りの声を上げた。
米倉カルロスさん(69、二世)は、「僕はこの国で生まれ育ったブラジル人。だからデモに参加した」と強い口調で述べた。さらに「今がこの国の未来を決める瞬間だ。両親や息子の世代も今回の抗議には全面的に同意している。国民の金を汚職に使う政治家を許してはいけない」と冷静に怒りを述べた。
比例代表制と銃規制に反対した「ブラジル・メリョール」の街宣車の前に陣取った中島イザベルさん(59、二世)は、「国民の69%は治安に不安を感じて銃の所持を求めているのに、政府が国民の意見を聞かずに勝手に規制した」と政府へ怒りを見せた。また、世間を騒がせ続ける一連の汚職事件について、「国民の税金を盗む政府が許せない。権力者だけが法の抜け穴をくぐり抜ける」と嘆いた。
コグチ・セイジさん(43、三世)は、「この機会に政治家だけではなく、国の文化自体を正さなければならない」と語った。「視野が狭くて個人主義の上、自分の利益ばかり求める。なにも考えず、行き当たりばったりな国民性が問題。政治家だけではなく、これらの問題も解決しないといけない」と根本的な問題について言及した。
横溝スエリさん(56、三世)は、「汚職のない国を求める」と語った。「私は汚職だらけの国で育った。貧富の差は大きく、一日中働く人は保険や教育など、生活に必要なものが十分に享受できない環境だ」とブラジルの現状を説明した。
椎野厚さん(62、二世)は、「比例代表制に反対、LJ支持が今回のデモの大きな焦点」と語り、「状況は良くなっていくと思うが、ほとんどの人が汚職に関係している。ブラジルのために、議員全員が尽力して欲しい」と懇願した。
夫婦で参加した高エルザさん(66、二世)とトオルさん(68、同)は、「以前のブラジルは大きな希望を持っていた。でも今は保険も教育も経済も悪化して、国民は不安を感じている」と落胆した様子。「日系議員にも前に出て努力して欲しい。日系人のためだけではなく、もと国全体のために働くべきだ。文協や援協だけでなく、もっと多くの国民の前に立つべき」と日系議員にも注文をのべた。