ブラジル連邦警察が17日に「カルネ・フラッカ作戦」を実施して以来、肉類の輸出が大打撃を受け、既に1億3千万ドルを超す損害が出ていると、26日付現地紙などが報じている。
ブラジルにとって肉類は、輸出品目の中で極めて重要な位置を占めている。商工開発省のデータによると、2016年の場合、肉類の輸出は穀物、鉱物に次ぐ3位で、その金額は126億5500万ドルに及ぶ。輸出全体に占める割合は7・5%、国内総生産に占める割合も0・8%と高い。
また、鶏肉の輸出量4304トンは米国の2990トンを大きく上回って世界1位、豚肉輸出はEU、米国、カナダに次いで世界4位だ。
だが、17日に実施されたカルネ・フラッカ作戦で、肉の加工や保存にまつわる違反の疑惑が食肉業界21社に及ぶとの報道がなされると、米国やEU、中国など、世界各地でブラジル産の肉の輸入を見合わせる動きがたて続けに起こった。
その影響は当初から相当大きなものになると予想されていたが、ブラジル蛋白質動物協会(ABPA)が発表したところによると、24日までの1週間で、豚肉と鶏肉の輸出は4千万ドルの損害を受けたという。
また、ブラジル肉類輸出産業協会(ABIEC)も、作戦開始からの1週間で少なくとも9600万ドル相当の牛肉がサントス港で止まった状態になっているという。
ブラジル産の食肉輸入禁止の流れは、20日に禁止を発表した中国が、27日から輸入を再開など、チリやエジプトも含めた3カ国で解除された。今後の疑惑の解明次第では他の国も続く可能性もあるが、疑惑の対象企業21社はやはり、輸入禁止措置の対象となったままだ。また、米国やEUなど、差し止めが続いたままの国もまだ多い。
また、渦中にある、セアラ・ブランドなどで知られる大手JBS社は、24日に一時停止した操業を27日から再開したが、このスキャンダルによる需要減その他のダメージは避けられないと見て、通常の65%分のみと、生産規模を縮小している。
また、JBSは雇用削減を否定しているが、パラナ州では2社が工場を閉鎖して計280人を解雇しており、業界では今後も失業者が出ると懸念している。
そして、その懸念に追い討ちをかけるように27日、パラナ州を拠点とし、24日にリコールも命じられた精肉企業のソウザ・ラモス社とトランスミート社の2社が、カルネ・フラッカのせいで操業停止を命じられた。
ブライロ・マッジ農相は今回の輸入禁止措置に関して、「1週間~2週間で収拾できる」との見方を示したが、それでも「迅速に解決できなければ、損害は15億ドルに達する可能性がある」と見ている。