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ロラパルーザ・ブラジル=動員20万人目前でサンパウロ随一のイベントに=今年のハイライトは?

ブラジルの新聞でも連日一面の写真と特集ページで紹介されたロラパルーザ

ブラジルの新聞でも連日一面の写真と特集ページで紹介されたロラパルーザ

 「ブラジルを代表するロックのイベントは?」と質問されると、何年か前までは「ロック・イン・リオ」と答えるのが普通だった。
 今も決して間違いではないが、サンパウロのインテルラゴス・サーキットでの「ロラパルーザ・ブラジル」は今や、隔年開催のロック・イン・リオを凌駕する勢いで大きくなってきている。
 ロラパルーザは、元は全米屈指の同名のロック・フェスティバルの南米チェーンとして2012年(チリはその前年の11年)にはじまり、14年にはじまったアルゼンチンとあわせ、原則、同じ組み合わせのアーティストたちがサンパウロ、ブエノス・アイレス、サンチアゴをツアーする形で回るのが恒例となっている。
 ロラの特徴としてよく指摘されるのは「情報のアンテナの鋭い人向けのイベント」ということであり、欧米で話題になり始めたバンドや、エレクトロやヒップホップ、また、そういう音楽情報を求めている人の耳にも刺激的に聞こえるようなタイプのベテランを招集することだ。
 そうしたこともあり、ロラの会場は、とりわけ女性客にとっても、来て行く服ひとつとっても勝負服を選んでいくようなオシャレな空間でもあるのだ。
 そんな今年のロラは、初日にヘヴィ・メタルの永遠の王者メタリカと、2000年代でもっともスタイリッシュなロックバンドのザ・ストロークスと、かねてからブラジルを含め世界的に人気のバンドを招聘したことで発売時から話題だったが、話題となったのはそれだけではない。
 インターネットの新聞のサイト、あるいはエンタメ系のサイトは、25、26日の2日間、どこもロラパルーザの速報を1日中ニュースで流し続けたが、終了後は「この日は誰がよかったか」のアンケートを読者に呼びかけている。
 それによると、初日に強かったのは、年齢を超越した壮絶さと大観衆を相手にした駆け引き上手が好評だったメタリカがのきなみ1位ではあったが、準トリをつとめたイギリスの若手エレクトロ・バンドのザ・XX、そしてメタリカの演奏している真裏のステージでDJをつとめた人気エレクトロ・デュオ、チェインスモーカーズ、派手さこそないものの、「ロラのごひいきバンド」としてこれが既にロラで3回目のサンパウロ上陸となるアメリカのバンド、ケイジ・ジ・エレファント。この四つの人気がとりわけ高かった。
 2日目で一番人気だったのは、「R&Bの革命児」として現在、全世界的なヒットメイカーとなっているカナダの男性シンガー、ザ・ウィークエンド。彼が私生活で交際している女性アイドル、セレーナ・ゴメスが彼のロラでのステージを見守っている姿が演奏中にモニターで流されたとき、会場からは女性ファンからの悲鳴に似た叫びも沸き起こった。
 そのウィークエンドと票を分け合ったのが、80年代の人気アイドル・バンドだったデュラン・デュランだ。彼らが10年以上にも渡る長い低迷期からここ最近、劇的に復帰。5万人を超えるロラの大型ステージはそんな彼らにとっての褒美のようなものだったが、彼らはこのチャンスをものにし、日曜の夕方に集まった世代を超えた大観衆を、ベテランの実力と底力で虜にした。
 この他にも、イギリスの新進系若手バンドのザ・1975やキャットフィッシュ&ザ・ボトルメン、ロリータ系の女性シンガーソングライターのメラニー・マルチネス、新進DJのマーティン・ガリックスやフルームなどが話題を呼んでいた。
 ただ、その成功の一方で、今年から最新式の電動式リストバンド導入に伴う入場方法の大幅な変更で混乱を招き、入場出来なかったり、長蛇の列が生まれたりするなど、苦情も多く生まれた。このリストバンドは会場への入場をコントロールするだけでなく、バーコード代わりとなって課金して飲食の支払も可能にするなど、世界でも類を見ないモダンなものだったが、これからもイベントを大きくしていくためには、こうした運営面での強化が今後の鍵となってくるだろう。