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終わりが見えないブラジルの汚職摘発事件

 29日朝、「~の~作戦で連邦警察が…」との報道を聞き、「また!」と思った▼ブラジルでは麻薬取引等の摘発も多いが、圧倒的に多いのは、14年3月に始まり、世界でも類を見ない大規模な汚職摘発となったラヴァ・ジャット作戦(LJ)や、1日に出た令状数や動員警官数ではブラジル史上最大規模の17日のカルネ・フラッカ作戦のような、汚職に絡む作戦だ▼29日のキント・ド・オウロ作戦の標的はリオデジャネイロ州の会計検査院で、院長を含む審議官5人を逮捕、州議会議長も強制連行され、事情聴取を受けた。同作戦は会計検査院元院長の報奨付供述に基づいて行われたが、同供述の元となった昨年12月のデスコントローレ作戦は、カブラル前知事夫妻らの不正を暴いたカルカッタ作戦の副産物だ▼カルカッタはLJの「子供」だから、キント・ド・オウロはLJの「曾孫」だ。ペトロブラスを巡る疑惑が中心のLJでは、28日に第39弾が敢行され、同社サービス部元役員が逮捕された▼クリチバ地裁での裁判は今も続き、4月には最高裁のファキン判事がオデブレヒト社の供述に基づく捜査開始要請を承認するはずだ。ファキン判事は28日、ルーラ元大統領とジウマ前大統領がLJの捜査妨害を試みたとの疑惑に関する捜査期間の60日間延長も認めたし、アングラ原発絡みの疑惑捜査も続いている▼本物の子や孫の誕生は喜ばしいが、LJで子、孫に当たる作戦や裁判が全国各地に広がっているのは、汚職の根が深い証拠に他ならない。公的監査機関の会計検査院が汚職の巣になるとは性質が悪い。だが、膿はしっかり出すべきだ。縁あってブラジルに住んでいる一人として、今後の行方も見守りたい。(み)