5月初めに開館する広報施設ジャパンハウスで28日午後、第5回運営委員会が開催された。オープン前、最後の会合となる見通しで、プレイベントや企画内容について報告、協議された。会合を終え、中前隆博委員長(総領事)と平田アンジェラ事務局長が取材に応じた。
JHは展示、物販、飲食の3本柱。展示企画の第1弾として、「竹」をテーマに2カ月間開催することになった。天井まである巨大オブジェや、竹かごなどの工芸品が飾られる。日本から複数の職人を招き準備を進めている。
昔から日本では、農家や職人が竹を上手く活用してきた。対して竹自体は多いブラジルだが活用、用途は少ない。現在日本では芸術的側面もあわせ持ち、竹と共存してきた日本を紹介する意向だ。
レストランは著名な日系人シェフ、坂本淳さんが責任者に決まった。焼き魚などの定食が主流メニューとなりそうで、価格帯は60~70レアルを想定。食材は主に当地産を利用する。適時日本人シェフを招き、メニュー開発など連携もある。カフェでは日本茶、ようかんなどの菓子を提供する。
物販事業では、テナントとして外部への貸し出しが主体となる。テーマとしては和食器や日本酒、だしなどの日本食を取り扱う方針で固まっているが業者との契約はまだ。風呂敷の展示販売は決定している。
3本柱以外に、施設外で進める日伯共同事業もある。当地産バナナを一部原材料にして、芭蕉布を製作する取り組みが発表された。SENAIを通じた技術伝達、普及を試みる。
また4月には2つのプレイベントを企画した。6日からイビラプエラ公園内のビエンナーレ館で、美術展を開催する。芸術家の草間彌生さん、写真家の杉本博司さんら世界的著名人15人ほどの作品が並べられる。9日まで。
8日から1カ月間は、自転車キャラバン隊が市内各地を巡る。古来日本にあった花売り行商をモチーフに、フラワーアーティスト東信さんが自転車に花を飾り、1日の終わりに無料配布するという。
施設は5月のゴールデン・ウィークに開館を目指す。明確な開館日について中前委員長は、「東京側で近いうちに発表があるのでは」とした。開所式のプログラムも詳細を詰めている。
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ジャパンハウスでの展示企画第1弾が「竹」に決まった。なんでも竹には優れた耐久性、利便性があるようだ。エジソンやサントス・ドゥモンも京都の竹を、それぞれの発明に活用したという。日本人でも知らない「日本の地味な良さ」だが、当地ブラジル人にどれだけ伝わるか。このような渋めの展示企画がブラジル社会に大きな反響を呼び起こし、「JHが4年後以降に自営する」という高いハードルを越えるための「好スタート」になるのか。乞うご期待。