ブラジル連邦政府は29日、基礎的財政収支の赤字を今年の予算目標である1390億レアルまでに抑えるため、421億レアルに上る予算カットと161億レアル規模の歳入拡大措置をとると発表したと、29、30日付現地紙・サイトが報じた。
29日夜、エンリケ・メイレレス財相とジオゴ・オリヴェイラ企画相が、予算目標と現状の見込み赤字の間には582億レアルの開きがあり、421億レアルを歳出減、161億レアルを歳入増で補うことになると発表した。
161億レアル分の歳入拡大の内訳は、101億レアル分がサンシモン、ジャグアラ、ミランダ、ヴォルタ・グランデの四つの水力発電所の売却益から、12億レアル分がクレジット会社への金融取引税(IOF)によって実現されるとしている。
残る48億レアル分は、50余の業種の企業に付与されていた、政府への社会保障費納付軽減策(デゾネラソン)廃止によって見込まれる増収分だ。
デゾネラソンはジウマ政権が2011年に施行した事実上の減税策で、企業が社会保障費を払う時に、従業員の給与額に応じて払うのではなく、利益に応じて払う仕組みに変更されていた。それを廃止することで見込まれる今年の歳入増は48億レアルだが、来年は110億レアルになると予想されている。
しかし、建設、インフラ、メトロ・鉄道、通信の4部門に関してはデゾネラソンが継続される。財相はその理由を「これらの部門は雇用の受け皿として重要だから」と説明した。
421億レアル分に上る予算カットは、201億レアル分が、各省庁の予算をそれぞれの予算規模に比例してカットすることで実現される。
また、105億レアル分は経済活性化プラン(PAC)を28%削減することで節約する。メイレレス財相は同プランの優先項目は実行するとし、PAC削減の影響は最小に留める意向だ。
109億レアル分は、各州選出の連邦議会議員の地元への投資、開発プラン実施のための議員割り当て金をカットすることで削減する。ジオゴ・オリヴェイラ企画相は、議員割り当て金を削減しても、今後政府が推進する年金改革や労働法改革において、各議員の造反は起こらないと見ている。
残る5億8千万レアルは、司法府である裁判所などの経費削減で支出減を図る意向だ。
今回発表された政策の一部は大統領令(MP)が必要だ。MPが出た政策は、発令から3カ月後に発効となる。MPは6カ月以内に議会承認を取り付ける必要もある。