ブラジルの納税者から、2016年に発行された「外国為替および税法(RERCT)特別制度」に係る「国外で保有されている資産」に関する質問があり、「国外からブラジルへ送金する際、個人所得税について、どのような影響があるのか」と懸念されています。
一般的には、同じ個人が所有する国外の銀行口座とブラジルの銀行口座間での単純な資金移動は、ブラジルの個人所得税目的の課税対象とはなりません。この場合には、IOFおよび銀行手数料のみが対象となります。
そのような場合には、外国資金を受け取るブラジルの銀行は、取引及び取引源の合法性を保証する責任を負うことから、送金を実行する上で、取引を証明する書類を要求することがあります。
したがって、納税者が、個人所得税申告書およびブラジル中央銀行(BACEN)の外国保有資産および権利の報告書(該当する場合)を、ブラジル税務当局に正確に報告することが重要です。
外国保有資産が過去にブラジルで報告されておらず、RERCTの対象となっていた場合、RERCT(DERCAT)に提出された申告書が暦年2014年までに申告されていることを証明できるかもしれません。上記の要件は、暦年2015年以降にも適用されます。
個人が10万米ドルを超える外国保有資産を保有している場合、2016年ブラジル中央銀行外国保有資産および権利の報告書の提出期限は2017年4月5日です。この報告書は、外国保有資産の合計が1億米ドル以上であれば、四半期ごとに報告しなければなりません。
2016年の個人所得税申告書の提出期間は2017年3月2日から4月28日までです。
税務上のブラジル居住者が、国外で資金の送金以外の収入、例えば、給与、配当、利子、キャピタルゲインなどがある場合には、特定の税率および税法に基づいて月次で課税対象となります。
最後に、ブラジルへの資金送金を行っている納税者が税務上のブラジル居住者でない場合には、ブラジルでの税務申告義務はありません。その場合、送金を行うブラジルの銀行は、銀行残高証明書や外国納税申告書、外国保有資産の所有権等を証明する書類を要求することになります。(問い合わせ先:renata.araujo@pwc.com, flavia.fernandes@pwc.com carolina.sakama@pwc.com , nobuyuki.yahagi@pwc.com)
※この記事は、ブラジルにおける法令等の改正動向等をお知らせするため発行されたものであり、一般情報の提供を主たる目的としていますので、個別ケースに対する専門的アドバイスとして、ご利用頂けない場合がございますのであらかじめご了承下さい。