サンパウロ市のバスや地下鉄、鉄道で使えるビリェッテ・ウニコが悪用されるケースが急増し、市役所が回収またはキャンセルしたカードの数が820%増えたと4日付エスタード紙が報じた。
16年にサンパウロ交通機関公社(SPTrans)が管理するシステムで不正が確認され、回収またはキャンセルされたビリェッテ・ウニコは7万8202枚あった。これは、15年の8500枚の9倍以上だ。14年は3800枚、13年は3400枚だった。
最も多い不正は2段階で行われる組織的なものだ。第1段階では、特別なソフトウエアで架空のクレジットを創り出し、インターネットで販売する。第2段階では、不正クレジットを入れたカードを使い、駅やターミナルでビリェッテやクレジットを売りつける。
具体的には、駅やターミナルに出向いた犯罪者が「複数の会社で働いているから余ったビリェッテがある」と言って正規料金より安く売りつける、利用者から金を受け取ってカードを渡し、中に入らせたらビリェッテを回収する、金と引き換えに自分でカードを機械にかけ、利用者を中に入らせるといった方法で、乗車賃を手にしていた。
警察はまだ、架空のクレジットを創り出している人物を特定出来ていない。不正クレジットは利用者に売りつける額の20~30%で売買されており、間にたつ仲介者は1万~2万レアル単位でクレジットを購入して、ビリェッテに入金するという。
警察が昨年摘発した3人組は約60万レアルを入金したカード452枚を持っており、現金4千レアルを用意して待っていた男性も逮捕された。
また、学生や高齢者、障害者を対象とする無料乗車用のビリェッテを悪用するケースもかなりの数になるという。
サンパウロ市でのビリェッテ・ウニコ利用額は年180億レアルに上り、流通しているカードの数は1430万枚。ビリェッテの不正利用による損害額は掴みきれていないが、ドリア市長はカードの管理や運営を民間銀行に委託する事も検討している。