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パラグアイ騒乱=大統領再選可決に野党反発=デモ隊が国会議事堂に放火、死者も発生=対話を呼びかけるカルテス大統領

昨年10月、パラグアイを公式訪問した際のブラジルのテメル大統領(右)とパラグアイ、カルテス大統領(左)(Beto Barata/PR)

昨年10月、パラグアイを公式訪問した際のブラジルのテメル大統領(右)とパラグアイ、カルテス大統領(左)(Beto Barata/PR)

 パラグアイで3月31日、同国上院議会が3月28日に大統領再選を認める憲法改正案を可決した事に反対するデモ隊が、国会議事堂に侵入し、建物に火をつける事件が発生した。
 35年間の長期独裁政権に苦しんだ国民には、大統領再選にアレルギーを持つ人が多い。
 この騒乱は4月1日未明まで続き、反大統領勢力の真正急進自由党(PLRA)青年部のロドリゴ・キンターナ氏が、同党本部を捜索した警察に撃たれて死亡した。この騒動で30人以上の負傷者が発生し、少なくとも200人が逮捕された。
 その後も首都アスンシオンの混乱は続き、オラシオ・カルテス大統領は2日、野党勢力に危機収束のための対話を5日に行おうと呼びかけたと、1~4日付ブラジル国内各紙が報じた。
 カルテス大統領側はこの対話の目的を「党利を超えて、憲法の枠組みの中で互いの意見の一致点を探り、熟考の場を設けること」だとしている。一方、同大統領は側近らに対し、交渉の行方に関わらず、再選制維持を目指すと語っている。
 それに対し、野党勢力は4日、大統領の再選を認める憲法改正の白紙撤回が確約されない限り、交渉のテーブルにつく気はないとした。アスンシオンでは3日の夜も抗議行動が発生した。
 ただし、3日のデモでは、3月31日のような武力衝突は発生しなかった。デモ参加者は、「独裁は二度と御免」「クーデターにはノーを」などと書いたプラカードを掲げて行進した。週末の1日~2日には、憲法改正に賛成した政治家の事務所や住居の前に反対派が集結するという抗議行動も発生した。
 また、商店、レストラン、ガソリンスタンドなど、多くの商業施設が憲法改正に賛成した議員たちへの接客を拒否することを表明した。
 ブラジル外務省はパラグアイの現状に関し、「(4月1日未明に発生し)1人の若い政治的指導者が死に至った暴力事件を遺憾に思うと共に、カルテス大統領の取った施策に対して信頼を示す」との公式文書を発表した。
 PLRAのロドリゴ・キンターナ氏を射殺したグスタヴォ・フロレンティン容疑者ら4人の警察官は既に身柄を拘束されており、30年以内の禁錮刑に処される可能性がある。
 カルテス大統領は1日、事件の責任を問い、タデオ・ロハス内務相とクリスプロ・ソテロ警視総監を更迭している。