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ラヴァ・ジャットの賄賂が正しく使われていたら…

 最高裁のファキン判事がラヴァ・ジャット作戦(LJ)関連で、オデブレヒト社の報奨付供述に基づく捜査開始許可を出して以来、庶民が首を傾げる機会が一段と増えた▼06~14年にオ社が払った賄賂は33億ドル(160億レアル)とされ、この金額で、保育所を建てれば5241カ所(86万7360人超の子供に対応可能)、救急診療所(UPA)なら5千カ所以上が可能で、救急車は8万3944台、スクールバスは5万5257台購入できるという▼同社の贈賄行為は14年3月のLJ開始以降も続き、15年6月にマルセロ・オデブレヒト被告が逮捕されて初めて、ストップがかかった。賄賂を払う必要がない事業契約をとった幹部はボーナス増額という制度は、賄賂を払う事でリスクを負う事を知っていた事を示す。御曹司逮捕まで汚職を続けた企業と、それを許した政財界の癒着ぶりは目に余る▼私腹を肥やすために賄賂を要請する政治家と、金の力で事業契約などを結び、法改正もやってのける企業の倫理。隠れている事で明るみに出ない事はないし、犯罪がばれれば責任も問われる▼だが、汚職で泣くのは罪もない庶民だ。元知事を巡る汚職が摘発されたリオデジャネイロ州で、医療機関や治安関係者が給与遅配などでストを行い、庶民が戸惑った姿は忘れ難いし、上下水道の整備工事が止まって悩む町もある。保育所やスクールバスの不足に泣く家庭も数知れない。LJは一部の人のエゴが多くの国民を苦しめ、悩ます現状を打破する一助になるはずだ。そんな中、LJで名指しされた政治家らが裁判官や検察官の職務も職権濫用にするような法案を通そうとする動きがある事は気がかりだ。 (み)