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《ブラジル》下院特別委が労働法改正案承認=「労働条件の柔軟化」が基本線=審議の行方は下院本会議へ=年金改革への壁はより高く

 

ロジェリロ・マリーニョ報告官(Alex Ferreia / Câmara dos Deputados)

ロジェリロ・マリーニョ報告官(Alex Ferreia / Câmara dos Deputados)

 ブラジル下院特別委員会で25日、政府推進の労働法改正案(報告官・ロジェリオ・マリーニョ下議)が賛成27票、反対10票で承認されたと26日付現地各紙が報じた。同改正案は26日に下院本会議で審議、採決が行われた。(26日午後5時の時点で結果は不明)

  下院本会議での改正案審議は、出席議員数が257を上回り、賛成票がその過半数を上回れば承認となる。今回の労働法改正案は「雇用者と被雇用者との間での交渉を認め、就労条件を柔軟なものにする」との原則に則っている。主な改正点は次の通りだ。

 年30日間の有給休暇は、3回に分割して取る事が出来る。それぞれ5連休以下になってはならず、少なくとも1回は15連休以上にしなくてはならない。

 就労時間や、残業した分を後日早退の権利とすることを交渉できる。一律1時間の昼食休憩も、早く退社したければ30分としてもよい。

 週最大44時間(残業込みで48時間)を超えない範囲なら、1日12時間まで就労できる。

 公共交通機関による通勤が不可能で、自家用車などで通勤する場合、通勤時間も勤務時間としていた規定が廃止される。

 規定の給与以外に、高い生産性を上げたり、特定の目的を達成したりしたことによる賞与、また会社の利益配分も認められる。

 従来の解雇または退職は、退職時には一切の権利を受け取れない「自己都合退職」と「正当な理由による解雇」、保障が受けられる「会社都合退社」に大別できるが、事前通知期間が半減され、FGTSも8割を受け取れる「交渉退社」の規定も盛り込まれた。

 自宅でパソコンなどを使って勤務する、ホームオフィスの権利と共に、経費請求などの規定も定める。

 妊娠中、授乳期間中の女性であっても、母体、胎児に危険性がないとの医師による診断書があれば、屋外など、従来は禁止されてきた職場環境での労働が許可される。

 なお、具体的な就労時間や休憩時間などは、労働者と雇用者の間の集団交渉で決めることが原則となっている。

 35人の下院議員を擁し、特別委員会にも2人を送り込んでいる社会党(PSB)は、連立与党でありながら、労働法改革や年金改革に反対する方針を打ち出していた。しかし、委員会参加の2人の下議は賛成と反対に意見が分かれた。

 労働法改正案の下院特別委員会通過は政府側の勝利と言えるが、より優先度もハードルも高い年金改革承認への道筋は未だ不透明で、政府にとっては予断を許さない状況が続いている。