テメル政権が進める労働法改正や社会保障制度改革に異議を唱える九つの労働組合や社会運動家の呼びかけで、28日は全国各地の公共交通機関や銀行、学校などでストが起き、市民生活や生産活動などにも多大な影響を及ぼした。
28日付現地紙や各紙サイトによると、連邦直轄区と25州では同日未明から地下鉄や鉄道、バスの運行が止まり、ストの事を知らなかった人や深夜の仕事を終えて帰れなくなった人が駅やバス停で途方に暮れる姿や、仕事に行こうと出かけた人がタクシー乗り場に群がる姿も見られた。ゼネストに参加は、最終的には全州となった。
他方、政府への圧力を増し、ゼネストを知らしめるため、空港への道や高速道路などを封鎖し、タイヤなどに放火する抗議行動も随所で起きた。サンパウロ大都市圏ではヅットラ街道やマルジナルなどが封鎖され、平常時を超える渋滞が発生。空港に向かう人や長距離バス利用者にも影響が出た。
サンパウロ市の公共交通網は当初、地下鉄4号線と一部のバスのみの運行となっていたが、都電(CPTM)や地下鉄は午前8時半以降、部分的に動き始め、正午までに、CPTM7~12号線、地下鉄も、3号線以外は部分的だが運行し始めた。
空港では地上勤務者のストが起きたが、操縦士や乗務員は労働法改正で譲歩が見られた事でストを回避したため、大半の便は通常通り運行した。GolやLatamなどは、ストで予約便を利用できない客の便変更を無料で行う。グアルーリョス空港では0~13時の発着便294便中、22便が遅れ、5便が休航。コンゴーニャス空港では朝9時半までに5便が遅れ、8便が休航した。
幹線道路でのピケやタイヤ放火はリオ市やレシフェ市などでも起き、逮捕者が出た市もある。リオ市では、警官との抗争による負傷者も出た。
ゼネストで通勤、通学の足を奪われた市民は多いが、教員ストが公立校と相当数の私立校に及ぶとの情報を得た企業の一部は、子供が居る従業員に自宅勤務を認めた。
レシフェ市では商店が軒並み閉店。パラナ州では手術中止など、ストの影響は随所に出ている。
テメル大統領は、ゼネスト参加は左派の労組と関連した部門や機関のみとの予想が裏切られ、ここ2~3日の参加表明が急増した事を懸念。
民主運動党(PMDB)上院リーダーのレナン・カリェイロス元上院議長が労働法改正に苦言を呈している事などもあり、上院での労働法改正案審議や下院での社会保障制度改革案審議は、ゼネストで高まった反対の声が少し収まるのを待って始まる可能性もある。