【既報関連】ペトロブラス(PB)社元サービス部長のレナト・ドゥケ被告が、パラナ州連邦地裁のセルジオ・モロ判事に再尋問を要請し、ブラジルを席巻している政財界汚職捜査、ラヴァ・ジャット(LJ)作戦で報奨付供述(司法取引)を行う用意があると語っていると、28日付現地紙が報じた。
報奨付供述を行うとのドゥケ被告の意思は、同被告の弁護士が27日にモロ判事に提出した文書に記載されていた。ドゥケ氏の証言は5月5日に予定されている。
ドゥケ被告は、PB社が建設大手のオデブレヒト社と交わした石油採掘船のレンタル契約で、オデブレヒト社に便宜を図った見返りに賄賂を受け取っていたとして、刑事訴訟の被告になっている。
同じ訴訟では、労働者党(PT)政権の元財相で、官房長官も務めたアントニオ・パロッシ氏、オデブレヒト社元社長マルセロ・オデブレヒト氏、その他12人も被告となっている。ドゥケ被告は既にPB社絡みの汚職裁判3件で、合計50年に及ぶ禁固刑を受けている。
ドゥケ被告はルーラ政権時代の2003年に、当時官房長官だったジョゼ・ジルセウ氏の指名でPB社理事となった。同被告はPB社の事業契約にまつわるPTへの賄賂の仲介役を務めており、これまでも報奨付供述の機会を探していた。
03年から12年までPB社サービス部長だったドゥケ被告が報奨付供述を行えば、当時、政権の座にあったPTに関連した汚職がより一層暴かれる可能性がある。
一方、16年9月から逮捕勾留が続いているアントニオ・パロッシ元財相も、20日にモロ判事から尋問を受けた際、「LJ作戦で捜査中の案件について、『汚職行為を行った人物の名前や住所、実際に行った事柄』を明らかにする用意がある」とし、報奨付供述の意志がある事を示した。同被告は「自分が持っている情報を全て差し出せば、LJの捜査は最低1年は延びるだろう」とも語っている。
27日付UOLサイトでは、パロッシ被告は既に、報奨付供述のための弁護士との契約も済ませたと報じられている。
パロッシ元財相は、元PT政権幹部の中で初めて、報奨付供述の可能性を示唆した人物だ。ルーラ政権では財相、ジウマ政権では官房長官を務めた同被告による報奨付供述の可能性が高まったことで、PT関係者は懸念の色を濃くしている。
また、20日の証人喚問で同被告が報奨付供述を行う意志を示した際、同被告の供述によって金融機関もダメージを受けるのではないかとの危機感が広がり、市場関係者にも戦慄が走った。