【既報関連】ラヴァ・ジャット(LJ)作戦によるもの三つを含む、5件の刑事裁判で被告となっているルーラ元大統領(労働者党・PT)に対する、初めての本人尋問が10日に行われると、10日付現地各紙・サイトが報じた。
尋問は当初、5月3日に行われる予定だったが、連邦警察やパラナ州保安局などの要請を受けたパラナ州連邦地裁のセルジオ・モロ判事が10日に延期していた。
尋問前日の9日、リオ・グランデ・ド・スル州のポルト・アレグレ連邦地裁は、ルーラ氏弁護団が出していた尋問延期要請と尋問の録画許可申請を棄却した。ルーラ側は同日、同様の訴え二つとモロ判事を担当から外す要請を連邦高裁に出したが、フェリス・フィッシャー高裁判事は、10日の朝、それを棄却した。
クリチーバ市のパラナ州連邦地裁で行われる尋問は、議員特権のない人物の裁判を担当するモロ判事と、大統領在任時はカリスマ的人気を誇ったルーラ被告の初の直接対峙として、異様な注目を集めた。モロ判事が6日と8日に「あくまで普通の司法プロセスの一環だから、クリチーバでのデモ行為は避けて欲しい」と異例の呼びかけも行うほどだった。
しかし、9日にはルーラ支持派が20台ものバスでクリチーバに詰め掛けた。また、ジウマ元大統領(PT)も、10日の午前11時過ぎに通常機でクリチーバに到着した。
ルーラ被告の尋問は10日午後2時開始と予定されていた。同被告を乗せた飛行機は10日午前9時半にサンパウロ市を発ち、午前10時過ぎにクリチーバ国際空港に着いた。
10日の尋問は、建設大手OAS社が石油公社ペトロブラス社(PB)との高額契約を得た見返りに、グアルジャーの高級三層住宅を、本来の権利のある物件との差額をOASが負担する形で事実上贈呈、さらにその改装費と私物を保管する倉庫代の賃借料を含め、総額370万レアル相当の賄賂を払っていたとの疑惑に関する最後の本人尋問だ。ルーラ被告は午後2時18分から尋問を受け始めた。
ルーラ被告はLJ作戦ではこの他にも、同作戦で逮捕されていたPB国際部元部長のネストル・セルヴェロー被告を買収して報奨付供述に応じないように仕向けようとした捜査妨害容疑、建設大手オデブレヒト社によるサンパウロ市南部のルーラ研究所の建設予定地購入や、サンベルナルド・ド・カンポ市の自宅隣のアパート無料貸与という形の収賄容疑の2件で、被告になっている。
さらにルーラ被告は、アフリカのアンゴラでのオデブレヒト社の事業契約に関して便宜を図った疑惑(ジャヌース作戦)や、ロビイストから息子経由で賄賂を受け取り、自動車製造企業への免税措置延長や、ブラジル空軍用の戦闘機購入契約で便宜を図った疑惑(ゼロテス作戦)でも被告の立場にある。