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サンパウロ市サントアマロ区=サンタカーザが産院を閉鎖=赤字がかさんで継続不能に

パラー州ベレンのサンタカーザ病院に運ばれてきた妊婦がヘリポートで生んだ赤ちゃんを取り扱う医師や看護婦達(ASCOM/SEGUP)

パラー州ベレンのサンタカーザ病院に運ばれてきた妊婦がヘリポートで生んだ赤ちゃんを取り扱う医師や看護婦達(ASCOM/SEGUP)

 サンパウロ市サントアマロ区のサンタカーザ病院が、15日に、運用資金の不足を理由に、産院の閉鎖を発表した。
 同病院では16日以降は妊婦の受け入れを行っておらず、これまで受診していた妊婦もカンポ・リンポとMボイ・ミリンの病院に紹介する措置をとっている。
 産院の閉鎖はサンパウロ市保健局にも通達されている。同病院は慈善病院で、患者への対応でかかった費用は統一医療保健システム(SUS)から支払われている。市保健局は、同病院には昨年も、保健省や州、市の会計からの資金として、年間440万レアルが送金されたというが、同病院が抱える赤字は7億レアルに及んでいたとの報道もある。
 同病院の産院では2016年に、月237件の出産が取り扱われた。市保健局は月227件と報じている。
 なお、5月3日にはバイア州南部イタブナのサンタカーザ、サンルカス病院が、6カ月間の業務停止を発表した。業務停止とその期間は、4月18日に同市保健局と州保健局、州検察などが話し合って決めたものだ。
 同病院はSUSの患者だけに対応しているが、同病院の経費は月105万7636レアルかかっているのに、SUSからの資金は86万9097レアルしか払われておらず、月々約20万レアルの赤字が出ている。
 また、15日にはミナス・ジェライス州ベロ・オリゾンテのサンタカーザも400の病床を閉じると発表した。
 過去2年間に一部または全体の活動を停止した慈善病院は218に及ぶが、いずれも、SUSで対応する患者が増えたのに、SUSからの資金が十分ではなく、赤字が膨れる一方だった。活動の一部または全部を停止した218カ所の慈善病院が抱えていた負債総額は220億レアルとされ、保健行政のあり方が問われている。
 保健省は15日、各慈善病院はSUSの部門のみでなく、有料の民間医療部門を併設するなど、経営の質を高める工夫が必要との見解を表明したが、景気後退が長びき、失業率が高まっている事も、SUSで対応してくれる病院を探す人の増加を招いている。国や州、市の財政が厳しい事は国民も重々承知だが、税金は納めているのに、満足な医療さえ受けられないと不満を漏らす人も増えている。(15、16日付G1サイトなど)