ブラジル日系文学会(武本憲二会長)は20日午後2時から4時半まで、サンパウロ市の文協内9階の日本移民史料館(Rua Sao Joaquim, 381)で、出版記念会を開催する。
刊行されるのは『日系移民第一号史及び―それに準ずる事ごと―』(日伯両語、安良田済著)、『はいかいどうじん』(俳句選集、ポ語、ベネヂタ・アゼベド著)、『とかくこの世は』(日語、ネルソン・ロドリゲス著、アイリス・サークル訳)、『青空市場』(俳句選集、ポ語、ダニタ・コトゥリム著)、『アラウカリアの沈黙』(短歌集、日伯両語、ネイジ・ホッシャ・ポルトガル著、中田みちよ訳)の5冊だ。
なかでも注目は安良田済さん(101、山口県)の労作『日系移民第一号史』だろう。101歳の超高齢者にして、緑内障で視力が低下し難聴気味の中、「死んだ家内との約束だ」と自費出版をやりとげた。
本書は、移民社会の成り立ちを記録した年表からなる『歴史編』と移民第一号に関連するエピソードからなる『トピック編』から構成される。
安良田さんは、50年前から邦字紙に掲載された特ダネ記事を丁寧にスクラップし、それをもとに「日本移民の嚆矢」と思えるあらゆる出来事を拾い集め、正史から外れてきた移民史を記述してきた。
その13冊の分厚い資料集から、伊那宏さんが掲載可能なものを選び出し、編集作業が行われた。
日本移民百周年をきっかけに刊行に取り掛かった安良田さんは、「移民第一号のもつ意義は測り知れない」と強調。110周年を翌年に控えるなか、初期移民の開拓生活を支えた民族の特質を再認識させる琴線に触れた一冊となりそうだ。
「関心のある方は、是非出席を」と同文学会は呼びかけている。