ブラジル選挙高等裁(TSE)長官のジウマール・メンデス最高裁判事は、4月初旬以来延期されていた、14年大統領選挙時のジウマ/テメルのシャッパの収賄疑惑を巡る裁判を、6月6日に再開することを決定したと、17日付現地紙が報じた。
メンデス長官の決定は、同件の報告官、エルマン・ベンジャミン判事が、同件に関する供述の追加は充分だとして、TSEでの全体審理再開にゴーサインを出した翌日に下された。
ジウマ/テメルのシャッパにかけられた嫌疑は、ジウマ氏が再選を目指した14年の大統領選で、ジウマ氏側に政治力、経済力の濫用があったというものだ。
ジウマ/テメルの両氏は、昨年のジウマ罷免の際に完全に袂を分かっているが、ジウマ初当選の10年選挙、再選を果たした14年選挙では大統領、副大統領の間柄だった。このような連記式の候補リストを「シャッパ」と呼ぶ。
TSEが同シャッパの当選を無効とする判決を下すと、ジウマ前大統領が罷免されたことで副大統領から昇格したテメル大統領も職を解かれるため、上下両院議員による間接選挙で18年いっぱいまでの大統領を選出することになる。
今後の審理日程は、6月6、7日の午後7時からと、8日の午前9時と午後7時からの予定だ。
この裁判は4月4日に始まったが、新たな証人4人の供述を聞くために審理が中断していた。
4人の証人とは、選挙期間中に賄賂を受け取ったとされる、ジウマ陣営選挙参謀のジョアン・サンターナ被告と妻のモニカ・モウラ被告、彼らの部下のアンドレ・サンターナ被告、ルーラ~ジウマ政権の財相で資金管理を行っていたとされるギド・マンテガ被告だ。サンターナ被告とモウラ被告は、ジウマ被告は選挙戦の裏帳簿の事を知っていたと供述している。
TSEを構成する7人の判事の内、エンリケ・ネーヴェス判事とルシアナ・ローシオ判事は中断期間中に任期が切れて退任し、アジマール・ゴンザーガ判事とタルシジオ・ヴィエイラ判事に交代した。テメル大統領が任じた判事2人は「ジウマ前大統領の責任は問えても、巻き添えでテメル大統領も罷免とすることには反対」との見解の持ち主とされている。
判事たちの間には、18年末までの任期も半分以上過ぎ、来年は次の大統領選も行われる今、大統領を替えることにどれほどの意味があるのかとの空気が流れているともブラジル紙は指摘している。
ニコラオ・ジノ選挙検察副長官は、ジウマ前大統領の責任は明白とし、フィッシャ・リンパ(FL)法を適用し、今後8年間の選挙出馬や公職就任を不可能とする事を求めているが、テメル大統領が裏帳簿の事を知っていた事を示す証拠はなく、同氏の責任は問わないとの意見書を出している。この見解が通ると、テメル大統領は、当選無効となっても間接選挙に出馬する事が出来る。