【既報関連】食肉最大手JBS社主のジョエズレイ・バチスタ容疑者の報奨付供述が漏れ、国中が揺れた18日、エジソン・ファキン最高裁判事がテメル大統領やアエシオ・ネーヴェス上議(民主社会党・PSDB)、ロドリゴ・ロッシャ・ロウレス下議(民主運動党・PMDB)への捜査開始要請を認めた。この決定は、ラヴァ・ジャット作戦(LJ)の捜査妨害を試みたとのジャノー連邦検察庁長官の訴えを受けたものだと19日付G1サイトが報じた。
大統領が捜査を妨害したと見なされた根拠は、同容疑者が3月に録音したテメル大統領との会話の中で、エドゥアルド・クーニャ元下院議長との間の負債はカタを付け、前議長と部下のルシオ・フナロ被告には毎月(口止め料を)払っている、前議長との関係は良好と話す同容疑者に、大統領が「続けるんだぞ」と答えた部分だ。
同容疑者はジェデル・ヴィエイラ・リマ大統領府総務室元長官と話すはずだったが、元長官と連絡が取れず、大統領に会う事にしたという。口止め料の支払いを求めたのは別人だったが、大統領はこの件を重々承知していたようだったとも供述している。
同容疑者が、JBSや本人への捜査が進まないよう、裁判官や検察官を丸め込み、捜査情報も受け取っていると話した時に、大統領がそれを容認するかのごとき発言をした部分もある。不正行為の事を聞いた公職者が当局に伝えなかった事も、犯罪とみなされうる。
また、ペトロブラスがJBS傘下の火力発電所への天然ガス販売を拒んでいると、経済防衛審議会(Cade)に訴えていた件では、同容疑者が「ロドリゴ? うってつけだ」と言い、大統領が「全幅の信頼が置ける奴だ」と言う件がある。JBSは同下議に50万レの賄賂を払ったが、Cadeは18日にパトモス作戦で捜索を受けた際、JBSに便宜を図った事はないと答えている。
同下議は19日朝、出張先の米国から帰国したが、取材には無言で空港を後にした。ファキン判事は18日、同下議の執務室などの捜索を認め、同下議に職責停止命令も出している。
ファキン判事はアエシオ氏にも職責停止命令を出したが、検察は、アエシオ氏は大統領と政局調整を行う際、捜査官指名などに口を出し、LJの捜査妨害を図っていたという。アエシオ氏は18日にPSDBの党首を辞任し、後任党首にタッソ・ジェレイサッチ上議を指名した。
JBSは社会経済開発銀行(BNDES)の融資を使って積極的に国外企業を買収し、世界最大の食肉企業に成長。政治献金も最大規模だ。有価証券取引委員会(CVM)は同社に対し、1週間で3件の訴えを起こしており、不正が次々に表面化しているが、共同経営者のバチスタ兄弟らの司法取引で、18日までに出ていた罰金は2億5千万レのみ。情報漏えい直前の17日夕方には大量のドルを購入しており、18日のドル高で罰金を払って余る程の収益も出たともいわれている。
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