ロドリゴ・ジャノー連邦検察庁長官が23日、食肉大手のJBSとの間で結んだ司法取引は「現在進行中の重要犯罪」に言及したもので、捜査協力への見返りは妥当との見解を表明したと24日付現地紙が報じた。
JBS社主のジョエズレイ・バチスタ&ウエスレイ・バチスタ兄弟や同社役員ら、計7人の報奨付供述の一部は17日の夜、グローボ局のサイトやニュースで報じられ、大きな波紋を呼んだ。
JBSとの司法取引は18日に承認され、内容公開も認められたが、それと共に、ジョエズレイ容疑者が既に国外に出た事や、JBSが17日の報道直前に大量のドルを買い、株を売った事などが明らかになった。
また、検察庁が同容疑者と交わした書類には、司法取引成立前に始まった捜査やその後始まる捜査で犯罪行為が明らかになっても、同容疑者らを起訴しない事、兄弟2人の罰金(1億1千万レずつ)は来年から10年間で払う事、犯罪に関与したが捜査に協力するJBSやJ&Fの従業員がいれば120日以内にリストを提出する(従業員が自発的に申し出る期間は60日間)事などが記されている。
ジョエズレイ容疑者は刑務所に入った事もなく、書類に署名後、家族と共に国外に出た。GSP付足環をつけたり、定期的に裁判所に出頭したりする義務もない。
同容疑者らとの司法取引の内容は、供述後も刑務所に入っているマルセル・オデブレヒト被告など、オデブレヒト社とのそれと大きく異なり、検察が同容疑者らを特別扱いしていると批判する声は日毎に高まり、報奨付供述の無効化を求める声も出ている。
これに対し、ジャノー長官は、JBS社主らの供述は大統領との会話の録音だけではないと前置きした上で、供述は「現在進行中の重要犯罪」を取り扱ったもので「合意が成立していなければより深刻な結果をもたらしていた」と、司法取引を擁護した。マルコ・アウレリオ・メロ最高裁判事は23日、同件に関し、同社との司法取引の内容を大法廷で吟味する可能性も示唆した。
一方、連邦議会では、JBSが急成長した経緯の説明を求め、同社を巡る不正について調査するための議会調査委員会(CPI)設置や、既存の委員会による同社の観察、最大15年の禁固刑や不正な収益の50倍の罰金を科すなどの項目を含むプロジェクト作成への動きが出ている。
同社の株価は17日の報奨付供述の一部漏洩以来、暴落しており、甚大な被害を被った国内外の投資家が賠償金の支払いを請求する動きもある。
ジョエズレイ容疑者は米国でも司法取引を結ぶべく、23日には法律事務所と契約を交わした。JBSの収益の47%は米国から上がっている。