「予想よりお客さんが来てビックリ。昼過ぎには予定していた300食が売り切れちゃいました」――福島県人会(永山八郎会長)は21日にサンパウロ市の同会館で第11回喜多方ラーメン祭りを主催し、曽我部威事務局長はそんな嬉しい悲鳴を上げていた。
午前11時に会場したが、11時半には列ができ、あっという間に席がいっぱいに。青年部ら20人がてんてこ舞いになって来客の対応に走り回り、昼12時半には300食が売り切れてしまった。急きょ100食を追加してなんとかしのいだ。
麺は当地製だが、今回は特別に日本から濃縮スープを取り寄せた。そのためサンパウロ市ラーメン戦争が盛り上がる中、「本格的な喜多方ラーメン」に期待するファンが群がったよう。
一番奥の関に非日系人4人組が陣取っていたので、話を聞いてみた。サンパウロ市在住のイカロス・ナヴァッロさん(24)は「初めてラーメンを食べたが、予想以上に美味しかった。フェイスブックで宣伝したのを見て、友達ときたんだ」と上手に箸を使っていた。
さわざわソロカバから食べに来た坂田レイコさん(64、父が福島県出身、二世)は「スープがとても美味しい。ソロカバにはラーメン屋がないので楽しみに来ました」と堪能している様子。
やはりカンピーナスから食べに来た樋口四郎さん(76、福岡県)も「いつもインスタントばかりなので、たまには本物を食べようと思ってきた」と美味しそうに啜った。
曽我部事務局長は「7月の県連日本祭りでは、麺も正式に輸入した日本製を使うから、もっと美味しいですよ」と次の宣伝を忘れなかった。
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ソロカバから来た坂田レイコさんの父は、福島県双葉郡浪江町出身だという。メルトダウンした福島原発が立地した町だ。「津波と放射能のダブルパンチ。ニュースを聞いた父は、『これで故郷がなくなってしまった』とすごく悲しんでいました。浪江に住んでいた従兄弟たちも、みな他の町に移ったそうです」とのこと。お父さんはその後、他界されたとか。あの世で、故郷の旧友たちと懐かしい再会ができていたらいいが。