社会経済開発銀行(BNDES)総裁のマリア・シルヴィア・バストス氏が26日に辞職したと、27日付現地紙が報じた。
後任には地理統計院(IBGE)のパウロ・ラベロ・デ・カストロ氏が就く。また、バストス氏に仕えたBNDES幹部たちは、引継ぎだけを行う。
バストス氏は、昨年5月16日、大統領代行に就任したばかりのテメル氏によって総裁に任命された。同氏はジェトゥリオ・ヴァルガス財団の経済学博士で、1990年にはBNDES初の女性理事となった。同氏の総裁任命は、テメル新政権による経済政策の転換を象徴するものだった。
バストス氏にはBNDESの融資を厳しく見直す命が下されていた。この方針変更により、各産業界から不満が出てはいたが、バストス氏は、1年をかけてBNDESの改革を進めていた。
だが、同氏の施策は、本来味方であるはずの連邦政府から批判を浴びた。今月の現地誌は、モレイラ・フランコ秘書室長が、バストス氏の後任を探しているようだとの記事を出したが、フランコ秘書室長はその噂を否定している。
しかし、12日にブラジル連邦警察の発動した「ブリッシュ作戦」において、BNDESが2007年から09年に、食肉大手のJBS社にずさんな融資を行っていた疑惑が発覚して以来、バストス氏への風当たりはさらに強まった。30人以上のBNDES職員たちが供述のために連警に連行され、BNDES職員協会からは、バストス氏が職員やその仕事の内容を擁護しようとしないとの不満が出ていた。
JBS社への不正融資疑惑解明のためには、議会調査委員会(CPI)も設置される見込みだ。この事件はバストス元総裁が就任するよりずっと前のPT政権時のことだったが、バストス元総裁へのダメージは大きかった。
また、BNDES内部にも、バストス氏が行おうとする改革に対して、根強い抵抗があった。
バストス氏は職員に宛てた書簡で、辞任の理由を「個人的なもの」と説明し、「ブラジルの成長と開発に重要な役割を果たしてきたBNDESの歴史の一部を担えた事は誇りだった」とした。