【既報関連】〃5・17JBSショック〃以降、政界の混迷の度合いが深まる中、連立与党内に、社会保障制度改革は当面、年金の受給開始年齢を高めるだけの「ミニ改革」にとどめ、さらなる改革は18年総選挙の後、19年に発足する新政権に任せるべきとの声が上がり始めていると30日付現地紙が報じた。
現政権が進めている社会保障制度改革は憲法改正になるので、「上下両院で定数の60%以上の賛成を2回」と、ハードルが高い。そのため、与党内には、暫定令や通常の法案の形での改革実現という案も出ている。
民主党(DEM)下院リーダーのエフライン・フィーリョ下議は、「今は非常に繊細な時期。『大きな課題』は次の政府に譲り、可決に持ち込める条件を備えているのはどの項目なのかを理解する事が必要だ」と語った。同下議はまた、6月6日に始まる、選挙高裁(TSE)でのジウマ/テメルのシャッパに対する判断が鍵になると見ている。
社会民主党(PSD)下院リーダーのマルコス・モンテス下議は、「例えTSEで当選無効判決が出るなどして議会内の空気が重くなった場合でも、少なくとも年金受給開始の最低年齢の引き上げだけでも通して、市場にポジティブなシグナルを送らねばならない」とした。
民主社会党(PSDB)はJBSショック前から、「社会保障制度改革成立のために柔軟な対応を」との態度をとっていた。同党下院リーダーのリカルド・トリポリ下議は、「日々、状況を観察している。確かに状況は深刻だが、司法の問題(TSE)と経済政策の問題を一緒にしてはいけない」とも語っている。
与党内には、元々目指していた、憲法改正を伴う社会保障制度改革も、効果は段階的だったため、「ミニ改革」もそれほど酷いものではないはずとの声も出ている。
ロドリゴ・マイア下院議長(DEM)は、社会保障制度改革の下院本会議採決を6月5~12日に行うとしているが、同議長に近い筋からは、金融市場に対し、改革は政治危機に影響されないと合図しているにすぎないとの声も聞かれる。