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《ブラジル》選挙高等裁判所=「政治危機解決の場所じゃない」=メンデス長官が断言=中断も控訴も可能な状況=テメルにとっては追い風か

TSEのジウマール・メンデス長官(Antonio Cruz/Agência Brasil)

TSEのジウマール・メンデス長官(Antonio Cruz/Agência Brasil)

 選挙高等裁判所(TSE)のジウマール・メンデス長官は29日、6月6日から再開する、2014年大統領選におけるジウマ/テメル両氏のシャッパの当選無効を問う裁判に関し、「TSEは政治危機を救うものではない」と発言した。大統領府はこの発言で、裁判の結果は楽観的なものとなりそうだと解釈している。30日付現地紙が報じている。

 メンデス長官は30日にサンパウロ市で行われた司法と保健行政に関する会議に参加した際、マスコミの取材に、「裁判所は政界危機を救うための場所ではない」と語った。
 これは、ここ数日、マスコミが行っている「メンデス長官が、テメル大統領の延命をはかるための時間稼ぎとして、審議内容の見直しを求めるのではないか」との説に対する返答的な意味で行われた発言だ。
 同長官は審議内容の見直しについては「複雑な裁判の場合に見直しを求めるのはごく普通のことだ」としたが、「だが、それが大統領府の意向で行われるわけではない」とし、「TSEは政府の操り人形ではない」とも断言した。
 この裁判で注目されるのは、仮にこのシャッパの当選が無効になった場合は、テメル氏も連帯責任を問われ、現在の大統領職を失うか否だ。この問題は、今月17日に起きたJBSショックでのジョエズレイ・バチスタ氏のテメル氏の汚職疑惑発言で厳しいものとなるとも目されていた。
 大統領府側は今回のメンデス判事の発言を受け、裁判は「テクニカルなもの」となると解釈したという。大統領の弁護側は可能な限り控訴を行う構えを見せており、さらに8日付で法相に就任したトルクアト・ジャルジン氏はTSE判事を8年間務めた経験があるなど、同裁判所を熟知しており、その経験からテメル氏を救う立場に回ることが予想されている。
 ただ、フォーリャ紙の報道によると、大統領府側は、仮に審議内容の見直しを求めなくとも、判事投票で7人の判事中、4人が「テメル氏はジウマ氏との連帯責任を問われない」という見解の投票を行うのではないかとの見方をしている。
 大統領府側で懸念する要素があるとすれば、テメル氏の右腕的存在だったロドリゴ・ロシャ・ロウレス下議(停職中)が、TSEでの投票の前までに、JBSと取り交わした50万ドルの金銭授受に関し、テメル氏にとって何かしら不都合な発言を行う場合だ。
 TSEでは、6月6日から8日にかけて4回の審理と投票が行われる予定だが、見直しによる延期は起こりうる上、控訴も可能だ。