最高裁のラヴァ・ジャット作戦(LJ)報告官エジソン・ファキン判事の判断と、前法相のオスマール・セラーリオ氏が推薦された汚職対策相を断って下議に戻る決断をしたことで、テメル大統領が元右腕のロドリゴ・ロシャ・ロウレス氏に関する疑惑への供述から逃げられなくなりそうだと、5月31日付現地紙が報じている。
ファキン判事は5月30日、JBS社のジョエズレイ・バチスタ氏の報奨付供述により、収賄や捜査妨害、犯罪組織形成の疑いで検察庁の捜査対象となった3人の政治家に関し、アエシオ・ネーヴェス上議(停職中)は別件扱いとすることを決めた。これは、3人の中のひとりであるテメル大統領の願いでもあった。
だが残る2人、テメル氏とロウレス下議(停職中)に関しては分けないことと、ロドリゴ・ジャノー検察庁長官がテメル氏に求めていた連邦警察に対する供述も、24時間以内に文書で行うよう求めることも決めた。
テメル大統領としては、ジョエズレイ氏の供述で生じた収賄疑惑に関する弁明に集中し、元右腕のロウレス氏のJBSとの50万レアルの金銭授受の件は同氏の個人的なこととして切り離したかったところだ。
同日は、大統領にとってさらに痛い事態も起きた。それは、前法相のオスマール・セラーリオ氏が、大統領が望んでいた汚職対策相就任を断ったからだ。
セラーリオ氏が就任を断ったのは、法相解任をメディア報道によって知らされた上、5月17日のJBSショック後の24日にブラジリアで起きたマニフェスタソンの際に、セラーリオ氏が法相として事態をコントロールできなかったことを大統領が不満に思っていることや、汚職対策省の職員が同氏指名に反対の意を唱えていることが伝えられ、遺憾に思っていたためだという。
テメル大統領としては、後任法相に選挙高等裁判所(TSE)とも強いつながりがあるトルクアト・ジャルジム氏を据えることで、6日から再開される、TSEでの14年大統領選でのジウマ/テメルのシャッパの当選無効を問う裁判を有利に進める手はずだったが、セラーリオ氏が汚職対策相を断ったことで思わぬ余波がテメル氏に回ることになった。
それは、セラーリオ氏の下議復帰で、同氏の補欠として下議になったロウレス氏が議員ではなくなり、フォロ・プリヴィレジアード(法的特権)を失って逮捕され、司法取引をする可能性が強まるからだ。しかも、ファキン判事がテメル氏の案件と切り離さなかったため、ロウレス氏が法的特権を失っても、同件は大統領絡みの案件として扱われるので、連警への供述でも同件で逃げにくい状況が出来る。
なお、汚職対策相の後任は同省のヴァギネル・デ・カンポス・ロザリオ氏の昇格が有力視されており、ロウレス氏が議員から外れることは必至と見られている。