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JICA=29人が実りある活動を報告=ボランティア帰国前報告会

2年間の活動を報告する岡本さん

2年間の活動を報告する岡本さん

 独立行政法人国際協力機構(JICA)は先月25日、日系社会ボランティアの帰国報告会をサンパウロ市のニッケイパレスホテルで開催し、2、3年の活動を終えた29人のボランティアが自身の活動について報告した。
 和太鼓指導員の蓑輪敏泰さん(69、宮城県)は今回が3回目の派遣。年間50以上のチームを訪れ、指導した。「これまでの派遣でかなり太鼓の普及ができた」と自負するが、「せっかく普及させたものが、数年たって途絶えてしまうこともある。これからは、すでにできたチームを育成・強化する必要がある」と見ている。
 今後は7月の全伯太鼓大会に向けて、再来伯することを決めている。「次はJICAボランティアではなく自費で行く。費用はかかるが、自由に活動できるメリットがある」と、情熱にあふれ、経験豊富な蓑輪さんならではの考えを示した。
 岡本洋美さん(37・兵庫)は、サンパウロ州内52カ所の日系移住地を巡回し、診療の同行や認知症予防について講演を行ってきた。「『認知症』という言葉自体が浸透していない地域もあったので、一から指導するのに苦労した」と話した。
 また「認知症予防の手の体操を教えても、その場限りなってしまうことも多い」と明かし、後続ボランティアへの課題とした。
 報告者らは派遣先や協力者への感謝の言葉述べ、中には感極まって報告中に涙ぐむ姿も見られた。報告会を見学していた現職教員ボランティアの福尾香織さんは、「職種によって活動が様々で興味深く報告を聞いた。派遣先に合わせた施策が必要と実感した」と話した。