9日に行われた選挙高等裁判所(TSE)の裁判で悪役になった判事の息子が、現在ハリウッドで大役を得始めている注目の新進俳優だということがわかり、話題となっている。
ブラジルは先週末、テメル大統領の進退もかかる、14年大統領選でのジウマ氏(前大統領)とテメル氏(当時は副大統領)の当選を無効にするか否かの投票についての話題で盛り上がり、ジウマ陣営の収賄容疑をはじめ、多くの疑惑がありながらも当選が有効になったことで、国民からは大きな落胆と怒りの声が上がった。
その理由は、かねてからテメル大統領と親しかった判事4人がテメル氏が大統領の座から落ちぬよう取り計らったためと目されている。これら4人の判事の内、2人はテメル氏の指名で判事に就任している。
テメル氏の指名で就任した判事のひとりはアジミール・ゴンザーガ氏だが、同判事の息子は、現在アメリカにわたり、俳優として成功し始めている。ブラジル人俳優でハリウッドに渡って成功した例は、ロドリゴ・サントロ(「300」など)やヴァギネル・モウラ(ネットフリックスのドラマ「ナルコス」主演など)くらいしかなく、かなり貴重だ。
その息子の芸名はヘンリー・ザガで、現在24歳だが、彼は、今年ネットフリックスで配信され、大ヒットとなったアメリカのドラマ「サーティーン・リーズンズ・ホワイ」の出演者のひとりだ。
日本でも「13の理由」の名で配信されているこのドラマは、ある少女の自殺の理由を遺書に従って13の話で構成したもので、ブラジルでもこれを見て自殺をした若者が相次ぐなど、社会問題にもなっているが、この中でヘンリーは、脇役ながらも、13話中7話に出演している。
このドラマのファンページなどを読んでみると、ヘンリーは美青年として女の子の間で話題のようだ。劇中では特にポルトガル訛りを感じさせない自然な英語を話してもいる。
そのヘンリーが、このほどハリウッドでかなり大きな役を獲得し、国内外で話題となっている。
それは人気スーパーヒーロー映画「Xメン」の2018年公開予定の新シリーズ「ニュー・ミュータンツ」の中で、ミュータントの中のひとり「サンスポット」の役を獲得したのだ。サンスポットは、太陽光の力で威力を発揮するミュータントで、人間の時はブラジル人ロベルト・ダ・コスタに扮している。
「Xメン」シリーズはアメリカでは公開週に少なくとも5千万ドルを売り上げる人気作だから、この出演で一気に知名度をあげそうな勢いだ。
ヘンリーの父親のアジマール判事は「イケメン判事」なる呼び声は特にあがっておらず、国民からの支持率の低いテメル氏を助けたということでイメージもあまり良くはない。ただ、近づいて顔をよく見ると、目鼻立ちはかなり似てもいる。
息子の活躍が、父親の今回の裁判でのダーティなイメージを覆せるかにも注目だ。(9日付R7サイトより)