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サンパウロ州内陸部=大学病院への需要が増加=追いつかない設備や人員

 民間の保健プランを失う人が増え、統一医療保健システム(SUS)の需要が高まる中、サンパウロ州内陸部では、治療が困難な病気治療の要とされる大学病院が需要増に対応しきれずにいると14日付現地紙が報じた。
 大学病院の需要増を示す例は、救急外来と小児科の集中治療室(ICU)を一時閉鎖したサンパウロ州立カンピーナス大学のクリニカス病院(HC)だ。同HCでは5月に、小児科の救急外来を1週間、大人の救急外来も24時間閉鎖している。小児科のICUは10人収容のところに14人が入院中だ。
 大人の救急外来の閉鎖は、28台しか置けない担架を72台置くほど混雑して起きた。当時の入院患者の50~60%は救急外来から回された人で、病棟内は医師の回診などにも支障をきたすほどの過密状態だった。
 外来閉鎖中の5月26日には、胸の痛みなどを訴えて来院した49歳の女性が他の施設に回るよう求められたが、市立の保健所に行ったところ、心筋梗塞で死亡するという事態も発生し、調査委員会が設置された。
 同病院では、妊娠中毒症などのリスクがあり、妊娠30週で29歳の妊婦が6時間待たされた、入り口の担架で待たされた50歳の女性がドレーンを抜いてもらうまで4時間待たされたなどの不都合は日常茶飯事だ。
 ソロカバ市のレジオナル病院は、近隣48市からの患者が来院し、サンパウロ州カトリック大学医学部生が研修を行う病院でもあるが、超過密状態の上、オムツやポマードなどの必需品にも事欠く。3月には、基本的な資材や機器の不足、劣悪な衛生状態などの訴えを受けた当局の監査も受けた。
 サンパウロ総合大学リベイロン・プレット校のHCでは病床が足りず、救急車の中で診察。整形外科の手術を5年間待っている患者もいる。
 マリリア連邦大学のHCでは、機材の故障で放射線療法中断という患者がいるし、サンカルロス連邦大学大学病院も、近隣の病院閉鎖で、患者数が60%以上増えた。
 州保健局は、大学病院の改修や拡張への投資は行っているが、SUSの料金表は5年間更新されておらず、国からの支払いが不十分と訴えた。
 保健省は、ソロカバとマリリア以外の病院には難病などの治療補助に3180万レを払ったというが、SUSの料金表への言及は避けている。