ホーム | ビジネスニュース | 《ブラジル》食肉問題=EU、ブラジルの対応に苛立ち=強い口調で非難の書簡届く=手始めに馬肉が禁輸に

《ブラジル》食肉問題=EU、ブラジルの対応に苛立ち=強い口調で非難の書簡届く=手始めに馬肉が禁輸に

ブライロ・マッジ農相(Marcelo Camargo/Agência Brasil)

ブライロ・マッジ農相(Marcelo Camargo/Agência Brasil)

 【既報関連】ブラジル産食肉の主要輸出先の一つである、欧州連合(EU)が、ブラジルからの食肉輸入を禁止する可能性があるとブラジルに伝えていると、14日付現地紙各紙が報じた。
 EUの政策執行機関である欧州委員会が、ブライロ・マッジ農相に宛てた書簡には、ブラジルは、3月の連警によるカルネ・フラッカ(CF)作戦により、食肉品質偽装疑惑が発覚して以来、EUの信頼を回復させるための措置を何もとってこなかったと書かれていた。
 CF作戦は、ブラジルの食肉加工会社が、品質監査担当職員に賄賂を払うことで、基準を満たさない製品の流通許可を得ていたことを暴いた。
 EUの保健及び食品安全委員会のヴィテニス・アンドリウカイティス委員長の署名入り書簡は、「EUは、ブラジルの衛生管理システムの信頼性に疑いを持っている」とした上で、「最近の政治、司法スキャンダルは、ブラジル当局の行為能力への信用を低下させた」とまで書き記している。
 5月2日から12日までに、EU保健総局の職員はブラジル食肉業者に対する監査を行い、「調査を行った部門の大部分で重大な不備があった」と結論付けた。「不備」は、衛生基準そのものと、実際の検査方法の両方を指している。
 欧州委員会はブラジルからの馬肉の輸入を禁じるとしている。EUは、輸入規模の小さい馬肉禁輸で警告を出し、今後も問題が改善されないなら、牛肉や鶏肉に禁輸を拡大するとのシグナルを送ったと思われる。
 EUは、ブラジルにとって2番目の鶏肉輸出相手(昨年の輸出額は10億740万ドル)で、牛肉も3番目の輸出相手(6億8500万ドル)だ。
 欧州委員会はまた、ブラジル当局のCF作戦不徹底も批判している。当局は21の食肉業者を国外輸出禁止にしたが、EUからの書簡には、「農務省は、21の食肉業者以外を捜査することも、衛生検査システムを強化するための具体案作成も必要ないと判断した」と書かれている。
 EUは3月中旬より、ブラジルからの食肉検査を強化した。その結果、93の違反を指摘し、90の積み荷の受け取りを拒否している。EUはブラジルに対し、出荷する前に、微生物検査をする事も求めている。
 アンドリウカイティス委員長は、今年の年末にEUは新たな代表団をブラジルに派遣するとし、「状況によっては、新たな保護措置を検討することも止むを得ない」とした。
 ブラジルのマッジ農相は、未だにEUからの書簡に公式に返答しておらず、ブラジルとEUの外交官の間には不信の種が芽生え始めているという。