ホーム | ビジネスニュース | 《ブラジル》インフレ率=11年ぶり単月度マイナスを記録か?=中銀予想はマイナス0.1%=「利下げ進めるべき」と関係者

《ブラジル》インフレ率=11年ぶり単月度マイナスを記録か?=中銀予想はマイナス0.1%=「利下げ進めるべき」と関係者

16年7月を最後に月間インフレ率0・5%を超える事もなく、遂にマイナス予想に(参考画像 - Marcelo Camargo/ABr)

16年7月を最後に月間インフレ率0・5%を超える事もなく、遂にマイナス予想に(参考画像 – Marcelo Camargo/ABr)

 この6月、11年ぶりに月間インフレ率がマイナスと、事実上のデフレを記録する可能性があると、25日付現地紙が報じた。
 ブラジル中銀が、週刊経済指標調査〃フォーカス〃発行のため、経済アナリストに聞き取り調査を行ったところ、予想される6月単月度の広範囲消費者物価指数(IPCA)はマイナス0・07%だった。
 中銀内部でも予想はマイナス0・1%となっており、実際にデフレが発生したら、マイナス0・21%を記録した2006年6月以来、11年ぶりのこととなる。
 2年以上に及ぶ不況に沈み、ようやく景気回復の兆しが見えてきたものの、未だその動きは心もとない。景気回復の妨げとなる政治危機も未だ燻り続ける中、低インフレは、唯一、希望の持てるファクターだ。
 今年のインフレは政府目標の年間4・5%を割り込む、4・0%以下になると見られており、景気回復のための利下げ断行を加速させる最大の材料となっている。
 LCAコンスルトーレス社のエコノミスト、フラヴィオ・ロマン氏は、「6月のIPCAがマイナス予想という事自体には、ブラジル経済の状況を測定するために大きな意味合いはない。ブラジル経済の足取りは未だにおぼつかない。さらに、6月は毎年インフレ率が低いという、季節的な要因も大きい」と語った。
 同氏は、インフレ率は今年の後半、特に9~12月に上昇し、年末の時点では3・9%に落ち着くだろうとしている。
 6月のデフレ予想は、為替の動向や、食料品や燃料価格の下落、5月までは料金が加重される赤旗だった電気代も加重なしの緑旗になるなどの諸要因が重なった結果だ。不況と失業による消費の冷え込みも価格高騰に歯止めをかけている。
 また、卸売物価指数、消費者物価指数、建設コスト指数から算出され、住宅賃料調整時に使われる総合市場物価指数(IGP―M)も、6月締めの過去12カ月間の累積インフレ率がマイナスとなる可能性もある。IGP―Mが12カ月間の累積でマイナスとなったら、2010年6月以来の出来事になる。
 サンパウロ総合大学経済経営会計学部(FEA―USP)のエロン・ド・カルモ教授は、「この機を逃さず、来年からの目標年間インフレ率を4・25%に引き下げるべき」と語っている。