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《ブラジル》検察庁のテメル告発は不可避か?=「疑惑のテープ」は編集なし=既に対策の閣僚会議開催=カギを握る下院での投票

26日のテメル大統領(Beto Barata/PR/Fotos Públicas)

26日のテメル大統領(Beto Barata/PR/Fotos Públicas)

 JBS社社主のジョエズレイ・バチスタ氏との会話が録音された「疑惑のテープ」が、鑑定の結果、「異常なし(編集・改ざんの跡なし)」と判断されたことにより、連邦検察庁によるテメル大統領告発は止めることができそうもなくなった。大統領はあらゆる対策を打つと見られるが、連立与党の支持基盤も弱まっていると24~26日付現地紙が報じている。

 23日、現地紙サイトの速報で、連邦警察が3月7日にジャブルー宮で行われたテメル大統領とジョエズレイ氏の対話の録音を鑑定した結果、大統領側が主張していた「編集の跡があり、内容が変えられている」との訴えを退ける判断をしたことがわかった。
 テメル氏はこの録音で「(現在逮捕中の)エドゥアルド・クーニャ前下院議長への賄賂は継続して行わなければならない」という内容を、言葉を簡略化して語ったと疑われ、捜査妨害などに問われたため、録音の内容を疑い、自身の雇った鑑識家が「100点以上の編集点がある」といったことで抗議を行った。
 これを受け、最高裁のラヴァ・ジャット作戦の報告官エジソン・ファキン判事が連邦警察にこのテープの鑑定を行わせ、連邦検察庁のテメル大統領告発も、結果が出るまでは保留となっていた。
 連警が使った鑑定装置は、すべての音を区切ることができ、普通の耳では拾うのが困難な音声まで確認できるかなり高度なものだという。それによると、録音が途切れている箇所は、音声が途切れたときに自動的に録音が停止されるために生じたもので、編集による内容捏造などの疑いはないという。
 この結果により、連邦検察庁の告発を抑制することはかなり困難な状況に陥った。
 テメル大統領はこの結果を受け、25日午前、大統領官邸に主要閣僚を集めて会議を行った。この会議は表向きには経済政策や社会保障制度改革についての会合とされたが、内容は明らかに告発対策だったといい、ロドリゴ・マイア下院議長や下院の政府リーダー、連邦議会の政府リーダー、さらに自身の担当弁護士の姿もあったという。
 検察庁が大統領を起訴した場合、最高裁はこれを受け付けるかどうかの判断を下院に問う。
 下院はこの件をまず、憲政委員会(CCJ)にかける。CCJがまとめた意見書は、起訴状受諾か否かに関わらず、下院本会議での投票にかけられる。CCJが起訴状受諾を決め、さらに、513人の下議中、3分の2にあたる342人以上が賛成すれば、最高裁は大統領を被告として扱うことになる。仮に被告となれば、テメル氏は180日間の停職処分となる。
 テメル連立政権は下院の3分の2近くを占めるため、告発阻止に必要な3分の1以上の票獲得は難しくない。
 だが、大統領所属の民主運動党(PMDB)も足並みが乱れていると伝えられており、連立党の民主社会党(PSDB)や民主党(DEM)の下院リーダーも「各自の良識に委ねる」と発言するなど、磐石とは言い難い状況にある。