5月17日にJBSのジョエズレイ・バチスタ社主らの報奨付供述(承認前だったから表現は不適切だが)の一部が漏れて以来、ブラジルでは政界中心に様々な余波が続いている▼その一つはテメル大統領と側近の元下議の起訴だ。起訴状は同件を担当するファキン最高裁判事の判断後に下院に回され、憲政委員会での審議後、下院本会議にかけられる。3分の2以上の下議が起訴は妥当と判断し、最高裁判事の過半数がその判断を受け入れれば、大統領は被告となる▼昨年のジウマ前大統領罷免の時もだが、ブラジルでは各手順が法に則って進み、「クーデター」の言葉からは程遠い。国民の抗議行動も保障されている▼だが、ベネズエラではこの辺の事情がまるで違う。野党が議会の多数派となった後も、マドゥーロ大統領の息のかかる判事が多い最高裁が議会の決定を無効化、鶴の一声で議員も逮捕出来るなど、無茶な動きがやたら多いのだ▼その上、4月1日に始まった抗議行動の波は軍や国家警備隊に抑圧され、既に76人が死亡。22日には国家警備隊員が、抗議行動参加者を至近距離から射殺する事件も起きた▼司法、行政、立法の三権分立が崩れ、大統領や体制派の横暴が目立つベ国。生活物資や薬も不足、ハイパーインフレに苦しむ国民が国境を超え、隣国で難民申請をしている事の一部は弊紙でも報じてきたが、27日には警察ヘリを盗み、最高裁などに手榴弾を投下、銃撃する事件も起きた。大統領はテロだというが、一部では反対派を締めつけるための自作自演の茶番劇との見方も。反対派は新たな抗議行動を呼びかけたが、ベ国を見ると、ブラジルは本当にまだましだし、むしろ、おとなしい。(み)