【既報関連】28日夜、テメル大統領は次期検察庁長官候補として、ラケル・ドッジ氏を指名した。これは、テメル大統領が26日に検察庁から受けた告発を最高裁が下院に回す判断をした直後の決断で、ロドリゴ・ジャノー長官に対する挑発とも取れる行為としても注目された。28日付現地紙が報じている。
28日付本紙でも報じたように、検察庁内での投票で1位になったのはジャノー氏が推すフラビオ・ジノ副長官(621票)で、ドッジ氏は2位(587票)に終わっていた。だが、テメル氏はドッジ氏を指名した。
大統領は法律上、検察庁選挙で選ばれた候補やその順位にとらわれず、次期長官を選出することができる。だが、2003年以降、過去7回行われた長官指名では1位の候補がそのまま選ばれてきた。また、女性の長官も今回がはじめてだ。
今回の次期検察庁長官指名は、政府と検察庁の間の溝を示すものといえる。ジノ氏はジャノー長官の息のかかった人物であるためだ。
ジャノー長官とテメル大統領の関係は、26日に収賄疑惑で起訴された大統領が、27日に「これからは戦争だ」と発言するなど、日毎に悪化している。テメル大統領のジノ氏に対する印象も決してよくない。ジノ氏は14年大統領選でのジウマ/テメルのシャッパの当選の有効性を問う裁判で、シャッパの当選無効を訴えた。また、裁判の際も、新任のアジマール・ゴンザーガ選挙高裁判事は10年選挙で同シャッパの弁護士を務めていたとして、その投票は無効だとも訴えた。
それに反し、ドッジ氏は、テメル政権や民主運動党(PMDB)との仲が良好で、検察庁と対立関係にあり、最高裁内での親テメル派と目されるジウマール・メンデス判事との関係もうまくいっている。ただ、ドッジ氏本人はラヴァ・ジャット作戦を推進させたい意向の持ち主で、今回の人事で同作戦が緩和される保証はない。
28日のドッジ氏指名は、同日の昼に最高裁でのラヴァ・ジャット作戦報告官のエジソン・ファキン判事が、検察庁からのテメル大統領の起訴状を、下院に回す事を決めた後に行われた。これを受け、下院は29日に起訴状を読み上げた。今後は下院の憲政委員会(CCJ)と本会議で、テメル大統領への起訴状を受け入れ、同大統領に対する裁判実施を認めるか否かの投票が行われる。下院が起訴状受け入れを3分の2以上で承認し、最高裁も認めれば、大統領は被告となる。
一方、ドッジ氏は上院が休会となる7月17日までに上院CCJで査問を受ける予定だ。CCJと上院本会議が承認すれば、正式に検察庁長官に就任することとなる。任期は2年、続投可能だ。