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《ブラジル》財務省=アボノ・サラリアル支給の廃止を検討=年金改革難航の代替策か=「時代にそぐわない」と官僚

エンリケ・メイレレス財相(Antônio Cruz/EBC/FotosPúblicas)

エンリケ・メイレレス財相(Antônio Cruz/EBC/FotosPúblicas)

 事実上の〃年金改革〃である社会保障制度改革が難航している中、政府の経済スタッフは、支出削減や公庫の基礎的収支黒字化のため、アボノ・サラリアルの支給廃止を再検討していると、1日付現地紙が報じた。
 社会統合基金(PIS)や公務員財形計画(Pasep)に5年以上加入し、月収2最賃以下の労働者に対するアボノ・サラリアル支払いには、年間170億レアルの経費がかかる。
 アボノ・サラリアルは毎年7~10月に払われていたが、ジウマ労働者党政権は2015年に、支払い総額を抑えるための手段として、支払いを分割した。
 また、受取額も、対象となる年に何カ月正規で働いたかによって増減する仕組みとなり、現在は、対象年に1カ月正規雇用で働く毎に78レ、12カ月で937レが支給される。
 エンリケ・メイレレス財相は、労働法改正案承認後に社会保障制度改革法案を成立させることは可能との自信を見せているが、経済政策スタッフは、社会保障制度改革が骨抜き、または不成立となった場合の代替案を模索している。財務省関係者の一人は、国家財政健全化のために国家債務を削減するための代替案はあると語っている。
 アボノ・サラリアル廃止は1年前に歳出上限法を含む憲法改正案(PEC)を練っている時にも検討されたが、この時はPECの対象から外された。同PECからは、憲法で保障されている社会保障費の他、労働者支援基金(FAT)への融資、民間主導や公務員向けの社会保障費向けの資金調達に関する措置なども外された。
 失業保険、アボノ・サラリアルなどの支払いを行っているFATは労働省の管轄だが、毎年赤字で、今年も国庫から180億レが注入される見込みだ。連邦政府はFAT側に、今後数年間は赤字を補填する事は出来ないから支出を抑えるように通達済みだ。
 経済スタッフはアボノ・サラリアル廃止の論拠を、これは、最低賃金を保障する法律もなく、社会保障制度も不十分だった1970年代にできた制度で、今の時代にはそぐわないとしている。
 一方、政府は3日に、2017/18年のアボノ・サラリアル支払い計画を発表した。今回のアボノ・サラリアルは2016年の就労日数を基に支払われるもので、7月生まれなら7月27日から、8月生まれなら8月17日からといった具合で、誕生月の半ば頃から払い出しが始まるため、7~12月生まれの人は年内に受け取れるが、1~6月生まれの人の受け取りは来年以降になる。