俳誌『朝蔭』452号が6月に刊行された。《わが齢八十路の坂や秋の暮れ》《この年でバレンタインのチョコ貰う》(藤本千秋)はちょっとほほ笑ましい光景。《移住地の鳥居広場や秋桜》(山下志げこ)は、入口に立派なのが立つコロニア・ピニャールらしい作品。《南部鉄とブラジル風鈴競ひ鳴る》《爺ちゃんの看取りにやさし団扇風》(川上佐智子)はその場に居合わせたような「風の流れ」を感じさせる句。しんみりとした句が好きな人には《我に寄る妻の化身か秋蛍》(青木駿浪)。《柿食えば鐘が鳴るなり法隆寺》ならぬ、《柿食えば声援聞こゆ草サッカー》(高荒やえ子)もブラジルらしい一句。今回も秀作ぞろい。