【既報関連】マドゥーロ大統領と野党の対立が深刻化しているベネズエラで、独立記念日の5日昼、武装したマドゥーロ大統領支持派(チャビスタ)が国会に乱入し、議員、報道陣、職員らに暴行する事件が起きたと6日付ブラジル国内各紙が報じた。
チャビスタたちは、角材や鉄パイプ、手製の爆弾、銃などで武装していた。この攻撃で、国会議員5人を含む、少なくとも15人が負傷した。負傷者の一人のアメリコ・デ・グラツィア議員は、頭部に外傷を負った上、肋骨も骨折して入院したが、命に別状は無い。
同国では4月1日以降、反大統領派によるデモが激化しており、デモ隊と治安当局の衝突で91人が死亡。負傷者も1400人(3000人との報も)出ている。大統領支持派が国会に侵入したのは初めてだ。
野党連合の民主統一会議(MUD)は、ボリヴァリアーナ・国家警備隊がチャビスタの侵入を容易にしたと見ている。MUDは15年末に行われた選挙により、議会の多数派となったが、マドゥーロ大統領や彼に忠実な最高裁により、立法権行使を度々妨害されてきた。
議員たちは独立記念日の記念行事を行っていたところを、チャビスタに武力で妨害された。
チャビスタたちは7時間後に国会の敷地内から放逐された。ファングアイド議員は、「我々は武装集団に人質にとられた」と語った。インターネットで流れた、国会内の様子を撮影した映像には、血で汚れた壁や、薬莢の転がる廊下の様子が映し出されていた。
事件当時、首都カラカスの別の場所で独立記念パレードに参加していたマドゥーロ大統領は、「平和を望む。暴力は一切許容しない。真相究明を求める」と語った。
フリオ・ボルヘス議長は、同大統領を卑怯者と呼び、「政府がこんなことをするのは政府の脆弱さの証明」と非難した。
軍人でチャビスタ、国営放送局のTV司会者でもあるオズワルド・リベロ氏は、今回の事件の首謀者である事を認めた。同氏は、「(野党こそ)物資を隠し、我々にテロ攻撃を仕掛けている。彼らこそ民衆の敵だ」と主張している。
南米共同市場(Mercosul)を構成する、ブラジル、アルゼンチン、パラグアイ、ウルグアイの4カ国は、「ベネズエラ政府が、国内に暴力を引き起こしている全ての言動や行為を即刻止め、国民の人権と三権分立を守ることをここに促す」との声明を発表し、事件に対する強い拒絶反応を表した。
また先週、警察のヘリを盗み、最高裁に手榴弾を投下するなどして、政府への抗議行動を行ったオスカル・ペレス氏は、5日にインターネットで動画を公開し、同国民に「気を強く持ち、政府への抗議の意思を路上で示し続けよう」と呼びかけた。
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