テメル大統領は、7、8日にドイツのハンブルグで開催されるG20サミットに出席すべく、ブラジルを6日に出立。現地到着早々、BRICS首脳との会合や歓迎会などに出席したが、今回の会議では影の薄い存在となっていると7日付ブラジル国内紙・サイトが報じた。
テメル大統領は先週、政治危機解決のためにG20サミット欠席を決め、エンリケ・メイレレス財相とアロイジオ・ヌネス外相が出席と通達していた。報道関係者用の公式プログラムのブラジル代表が財相になっているのはこのためだ。
ところが、サミットに欠席すれば国際投資家からブラジル政府が弱体化したとみなされると財相から言われ、3日になって「やはり行く」と言い出し、6日にブラジルを出立した。
7日未明に現地入りした大統領は、ホテルに入る前に報道陣から「ブラジルは政治や経済で揺れているが、G20にはどんな姿勢で臨むのか」と訊かれ、「ブラジルに経済危機なぞない」と答えた。
「経済危機はないんですか」と畳み掛けられた大統領は、「ない。雇用は増えているし、工業生産も成長している。農業生産や農産物加工業界も順調だ。経済危機なぞ存在しないよ」と応じた。
これは、労務省が6月に、5月は3万4200人分の雇用創出があり、正規雇用は2カ月連続で増加したと発表した事などを受けた回答だが、5月末現在の失業率は13・3%とまだ高く、ブラジルが国内外に抱える負債も、5月末現在で3兆2500億レアル、年末時点では、16年末比17・28%増の3兆6500億レアルとなる見込みだ。
テメル大統領は午前中のBRICS首脳会談でも、ブラジル政府は議会や一般社会とも協力し、ブラジル史上最大の経済危機を克服しつつあると強調した。
だが、テメル大統領の出席確認が直前だったため、当初行うはずだった2国間の首脳会談はみなキャンセルされ、最後の行事も欠席する。この様子に、カナダ人の政治問題研究家は「ブラジルは政治的な問題で磨り減り、かつてのような役割を果たせずにいるようだ」とコメントしたという。